完売直前! 限定車アウディ「A1シティカーバー」はA1スポーツバックとどう違う?
くるまのニュース / 2021年5月30日 11時30分
2020年11月に限定250台で日本で発売されたアウディ「A1シティカーバー」は、コンパクトハッチバック「A1スポーツバック」をベースにオフロードルックに仕上げた1台だ。ワングレードのみの設定で、1リッター3気筒ターボエンジンを搭載する。その走りはどのようなものなのだろうか。
■コンパクトハッチ「A1」をベースに最低地上高を40mmアップ
アウディ「A1 Citycarver limited Edition(A1シティカーバー リミテッドエディション、以下A1シティカーバー)」は、プレミアムなコンパクトカーという位置づけのモデルだ。
Bセグメントハッチバック「A1スポーツバック」をベースにしたモデルで、日本では2020年11月に250台の限定モデルとして登場。かなりの人気を博したようで、いまでは在庫がほとんど残っていないようだ。ただしまだ完売したわけではないそうだから、気になる人は早めにディーラーに問い合わせてみてほしい。
アウディの上級モデルと同じレベルの安全装置が付き、装備品も品質感も上級モデル並みになっている。A1スポーツバックのフォルムなので、全長4050mm、全幅1755mmとコンパクトサイズであるが、A1スポーツバックより最低地上高を40mm高くするために、全高は1485mmなっている。それでも多くの立体駐車場に入る大きさだし、ちょっとした段差は気にしないで走れるところはSUVっぽい。
A1シティカーバーのルックスは幅広く安定感を感じる。
オフロードテイストのデザインエレメントをクロスオーバーさせ、アウディのSUV「Qシリーズ」を連想させる八角形(ベースのA1スポーツバックは六角形)のシングルフレームグリルやアンダーガード風のフロントリップが装着された専用バンパー、コントラストカラーのルーフとホイールアーチ、専用デザインの17インチホイールを採用するなどユニークなモデルだ。
インテリアに関しては、Sラインのインテリアプラス、ナビゲーション、コンビニエンス、アシスタンスの各パッケージオプションがすべて標準装備になっている。その分車両価格が上がって483万円になっている。
コンパクトサイズだからもちろん市街地での取り回しが良い。駐車場の枠の中にいれるのも楽で、ベテランドライバーはもちろんビギナードライバーでも操りやすい。
実際にワインディングロードを走ると、A1スポーツバックよりも車高が40mm高くなっている点がマイナスになるかと思ったが、それはまったくの杞憂だったことがわかる。
走りのフィーリングはA1スポーツバックより熟成している感じだ。サスペンションのストロークにはしっとり感があり、大きな動きでは頑強なフレームがガッチリ受け止めてくれる安心感がある。サスペンションの上下動のときに余分な遊びがないから、締まっていて無駄がない感触だ。
アウディ「A1シティカーバー」の走り
タイトターンでもロール角は小さく、ハンドルの手応えはダイレクト感たっぷりでクルマの動きがわかりやすい。切り込んでいってもステアリング系の剛性感は維持され、コーナリング中のタイヤフィールがちゃんと伝わってくる。
市街地でもワインディングロードでも、もちろん高速道路でもとても素直なクルマの動きで扱いやすいから、ドライバーを選ばない。シティカーバーが単なるコンパクトカーのジャンルを超えているように思える。
■1リッターターボエンジンは十分なパワー
シティカーバーのエンジンは1リッター直列3気筒ターボ「1.0TFSI」である。それだけを聞くと、1210kgの車重を引っ張ることができるのか心配になるが、ターボチャージャーによって最高出力116ps/5000-5500rpm、最大トルク200Nm/2000-3500rpmを発揮するから十分な力がある。
アウディ「A1シティカーバー」のインパネ。トランスミッションは7速Sトロニックだ
この最大トルク200Nmは、例えれば2リッターの自然吸気(NA)エンジン並みだからまったく問題ない。ターボの助けにより低いエンジン回転数からトルクがあるから、通常領域ではアクセルペダルを踏み込む右足の動きに比例した加速感が味わえる。
ただしアクセルを深く踏み込むとグイーンというエンジン音を伴い回転上昇を待つ感じにはなる。このあたりは1リッターエンジンの限界かもしれない。それでも結構いいペースで山道を駆け回ることができる。
トランスミッションは7速Sトロニック(DCT)。市街地走行や車庫入れの発進など微低速のときにはややスパッと繋がってスムーズでないこともあるが、そこだけ注意して走り始めてしまえばまったく問題ない。
ワインディングロードでは、シフトセレクターはDレンジのままでもハンドルの裏にあるパドルシフトを使うと、コーナーの立ち上がりでアクセルペダルに遅れがなく、気持ちのいい加速がタイミングよく味わえる。
パドル自体は小さめだが、ハンドルと一体に回るタイプなのでワインディングロードでは使いやすい。Dレンジのままならパドルシフトでシフトダウンしても、一定速走行でエンジンの力をあまり使わなくなるとマニュアルモードから自動的にDレンジに戻ってくれるから扱いやすい。アウディはこの自動的に戻るタイミングが早過ぎないので好感を持っている。
運転席に座るとちょっとスポーツカー的な雰囲気を感じる。ダッシュボード中央のモニター画面やエアコンなどのスイッチ類はドライバー側に向いているからだろう。
メーターパネルが液晶モニターで構成される標準装着のバーチャルコックピットも、ハンドルのスポークに付いているスイッチを使って画面を変えることができる。スピードメーター、タコメーター、地図情報、車両情報、エンタメ情報などドライバーの好みで大きく、広く表示するものを変えることができる。
アウディA1シティーカーバーは、取り回しが良くクセのないハンドリングで人を選ばない。老若男女、家族の誰でもが安心して運転でき、小さくても高級感があるところは大きな美点だ。
* * *
日本では限定車として登場したA1シティカーバーだが、欧州ではカタログモデルとして販売されている。アウディジャパンによれば注目された限定車だったようなので、今後また日本で販売される可能性も高いだろう。
アウディ「A1シティカーバー」。A1スポーツバックよりも車高が40mm高くなっている
Audi A1 Citycarver limited Edition
アウディA1シティカーバー リミテッドエディション
・車両価格(消費税込):483万円
・全長:4050mm
・全幅:1755mm
・全高:1485mm
・ホイールベース:25655mm
・車両重量:1210kg
・エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
・排気量:999cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速Sトロニック(DCT)
・最高出力:116ps/5000-5500rpm
・最大トルク:200Nm/2000-3500rpm
・WLTCモード燃費:15.3km/L
・タイヤサイズ:205/55R17
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