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「ロータリーは終わってない」マツダがなぜ今HPで宣言? 電動化で本格復活なるか?

くるまのニュース / 2021年6月25日 7時10分

2012年まで生産された「RX-8」を最後に、マツダはロータリーエンジン搭載車をラインナップしていません。しかしマツダは最近「ロータリーエンジンは、終わっていない」という記事を自社サイトに掲載しました。ロータリーエンジンはついに復活するのでしょうか。

■「ロータリーエンジンは、終わっていない」なぜマツダがウェブに掲載!?

 マツダから2021年6月21日、報道関係者向けに「マツダ787Bやロータリーエンジンに関するお知らせ」というメールが来ました。

 いま(2021年)から30年前の1991年6月23日は、第59回ルマン24時間レースでロータリーエンジン搭載のレーシングカー「マツダ787B」が日本車として初めて総合優勝した記念日です。

 それに伴い、ルマン優勝30周年記念「マツダモータースポーツの歴史」に関するプレスキットを公開。また、787BをモチーフとしたTシャツやステンレスボトル、そしてルマンへの歴代出場マシンのモデルカーなどを発売するといいます。

 さらに、ここから先が大きな注目ポイントで、マツダオフィシャルウェブサイトの「オーナー/カーライフ」コーナーにある「CLASSIC MAZDA」で、「ロータリーエンジンは、終わっていない。」(工場への潜入取材)という意味深いタイトルの記事を2021年6月16日に公開したというのです。

 これは、ルマンなどレース活動に限定したものではなく、「RX-7」や「RX-8」などロータリーエンジン車を所有するオーナーに対する情報提供であり、またはロータリーエンジンを「飽くなき挑戦」の象徴として位置付けるマツダの企業哲学を多くの人に理解してもらうための内容です。

 ロータリーエンジンに関する記事は、今回掲載された初回分を含めて3本あります。

 第2回は「ロータリーエンジンの魅力を引き出す精緻(せいち)な工程」(6月30日公開予定)、そして第3回は「匠によるエンジン組み立てと技術の継承」(7月14日公開予定)となります。

 確かに、ルマン24時間30周年記念に紐づいて、ロータリーエンジンの現状を紹介するという自社記事が出ることは理解できるのですが、視点を変えるとこのタイミングというのは新しいロータリーエンジン量産化に向けた布石との見方ができると思います。

「ロータリーエンジンは、終わっていない」という記事が公開された翌日、マツダはオンラインで報道陣向けに「2030年に向けた新たな技術・商品方針」を発表しました。

 そのなかでポイントとなったのはやはり電動化です。

 2050年までにCO2排出量を実質的にゼロとするカーボンニュートラル実現に向けて、日本を含めたグローバルでEV化を含めた電動化の大波が押し寄せていますが、そのなかでマツダはこれからどうしていくのでしょうか。

 また、2012年から導入したSKYACTIVエンジンは、「SKYACTIV-D」と呼ばれるディーゼルエンジンが日本でも人気を博しマツダ人気を後押ししてきましたが、これから先のマツダディーゼルはどうなるのか。

 そして、マツダ独自の電動化技術である、ロータリーエンジンを発電機として使うレンジエクステンダーEVについて、2022年に「MX-30」に搭載される予定となっていますが開発状況はどうなっているのか。

 そうしたさまざまな疑問に答えるかたちで、今回の技術・商品方針の発表がおこなわれました。

■水素×ロータリーエンジンも開発! マツダの電動化計画とは?

 そのなかで明らかになったのは、ロータリーエンジンは「マツダ3」やMX-30など、マツダがスモール商品群と呼ぶ車種ラインナップのなかで、レンジエクステンダーとして展開するということです。

水素ロータリーエンジンを搭載した「RX-8ハイドロジェンRE」水素ロータリーエンジンを搭載した「RX-8ハイドロジェンRE」

 今回初めてレンジエクステンダーの投影図が公開されましたが、大方の予想通り、ロータリーエンジンは車体前部の通常のエンジン搭載スペースに置かれており、リチウムイオン二次電池は車体の床面に敷き詰められ、またボディ右後部に外部充電ポートを備えていることがわかります。

 一方で、「マツダ6」や「CX-5」などラージ商品群の電動化は、4気筒のガソリンとディーゼルの48Vマイルドハイブリッド、ガソリン4気筒のプラグインハイブリッド、さらに「SKYACTIV-X」で対応するとし、ロータリーエンジンを搭載する予定はありません。

 また、今回初めて明らかになったEV専用スケーラブルアーキテクチャーについては、公開された画像では車体前方部にスペースがあり、ロータリーエンジン搭載の可能性はゼロではないような印象を持ちます。

 筆者(桃田健史)はマツダに対して、「今回のロータリーエンジン関連の自社記事掲載は、レンジエクステンダーEVなど新技術・商品方針の説明会を意識したものか?」と問い合わせましたが、「ルマン24時間30周年記念でのご案内、またCLASSIC MAZDAサイトで2020年末から復刻パーツの事業を始めたことから、復刻パーツがどのように造られているかを紹介したもの」という回答で、次世代「SKYACTIV-R」と直接的な関係があるとはいい切ってはいませんでした。

 また、会見のなかではカーボンニュートラルに向けた使用燃料についても触れていて、バイオフューエル(ガソリン・ディーゼル)、自然エネルギー由来の合成燃料であるe-フューエル(ガソリン・ディーゼル)、そして水素の活用に向けた研究開発を進めるとしています。

 水素についてこれまでのマツダの動きを振り返ってみると、2003年の東京モーターショーで水素ロータリーを発表し、2004年10月に国土交通省大臣認定を取得して公道でのテスト走行を開始。2006年2月には「RX-8ハイドロジェンRE」をエネルギー関連企業や地方自治体向けなどにリース販売しています。

 当時、筆者はマツダ横浜R&Dセンターで実施された同車の公道試乗会を取材しましたが、ガソリンと水素のふたつの燃料タンクを持っていて、車内にあるレバーを操作することで、走行中に燃料を瞬時に切り替えられる仕組みに驚きました。

 同乗したエンジニアも指摘していた通り、体感として水素はガソリンに比べてパワーとトルクが6割から7割程度というイメージでした。

 当初は、同車は水素社会実現に積極的だった北欧スウェーデンに数百台レベルで輸出される予定だったのですが、スウェーデン側の方針変更などにより利用台数は限定的になったと記憶しています。

 あれから15年が経ち、レンジエクステンダー向けの小型発電機として復活が決定したロータリーエンジン。将来的には水素燃料を使用することで、EVを含めたカーボンニュートラルに貢献することになると思います。

 新たなるロータリーの門出に期待します。

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