超個性的な見た目で我道を行く! おもしろ顔の高額な迷車5選
くるまのニュース / 2021年7月8日 6時10分
高額なクルマというと、高級セダンやSUV、超高性能なスポーツカーやスーパーカーが挙げられますが、デザインは意外と保守的といえます。しかし、高額なクルマでありながらユニークな見た目を採用したモデルも存在。そこで、ファニーフェイスの高級モデルを、5車種ピックアップして紹介します。
■王道ではない我が道を行くファニーな高級車を振り返る
一般的に高額なクルマとして挙げられるのは、高級セダンや超高性能なスポーツカー、スーパーカーですが、近年はさらに高級SUVと少量生産のハイパーカーが加わりました。
こうしたモデルはデザインについて比較的保守的で、高級セダンならば重厚感や押し出しの強さを重視し、スーパーカーならば精悍さとスピード感あふれるフォルムを採用するモデルが大多数です。
しかし、高額なクルマのなかでも、王道ではない個性的なデザインを採用したモデルも存在。
そこで、我が道を行くファニーなフロントフェイスの高級モデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●メルセデス・ベンツ「Rクラス」
3列シートの大型ワゴンで高額なモデルながらファニーな顔の「Rクラス」
現在、メルセデス・ベンツのラインナップから消えてしまったモデルで、かなり個性的なモデルだったのが2006年に誕生した「Rクラス」です。
Rクラスは3列シートのステーションワゴンタイプのモデルで、ロングホイールベースとショートホイールベースを設定し、日本ではショートホイールベースを展開。日本仕様のボディサイズは全長4930mm×全幅1920mm×全高1660mmと当時のSクラスに匹敵する大柄なボディで、現在の「Bクラス」を巨大にしたようなイメージです。
外観はスタイリッシュなミニバンといったフォルムですが、極端なスラントノーズを採用したフロントフェイスは、かなり個性的なデザインとなっています。
グリルとともに強く傾斜したフロントフェンダーの先端には、涙滴型ヘッドライトを配置。さらにデザイン上のアクセントとなっている三角形のポジションランプがその内側に配置され、どのメルセデス・ベンツのモデルとも異なるフェイスを実現。
トップグレードの「R63 AMG」の価格は1400万円ほどですからかなりの高級車といえますが、そのフロントフェイスは違和感を覚えるほどユニークです。
メルセデス・ベンツもやりすぎたと思ったのか2010年のマイナーチェンジで、フロントセクションを完全に一新。ボンネットの傾斜角も変えるほどの大変更で、大型グリルの採用とシャープな印象のヘッドライト形状とするなど、重厚な雰囲気となりました。
その後、Rクラスは2014年に日本、欧州、北米での販売を終了。中国では2017年まで販売が続けられましたが、一代限りで消滅してしまいました。
●シトロエン「C6」
まさにシトロエンならではのプレステージサルーン「C6」
シトロエンのモデルといえば古くは「アミ」や「DS」「SM」など超個性的なモデルが多く、直近では「C4カクタス」など、まさにシトロエンならではというモデルが、今もファンを魅了しています。
一方で、1990年代から2000年代初頭のモデルは、比較的保守的なデザインのモデルが多かった印象がありました。
しかし、2005年に発売された「C6」は、往年のシトロエン車に負けないほど、かなり斬新なデザインを採用。
シトロエンのフラッグシップセダンとして開発されたC6は、極端にオーバーハングしたフロントノーズに、逆にオーバーハングが短いリアエンドとし、緩やかにカーブを描くクーペスタイルのキャビンと、全体のフォルムが非常にユニークです。
なかでもフロントフェイスは、シトロン伝統の「ダブルシェブロン」をあしらった横長のグリルに、ブーメランのように湾曲したヘッドライトを配置したことで、フラッグシップとは思えないほど個性的な顔を実現。
フロントフェイスの奇抜なデザインや、5m近い全長の大柄かつ特異なシルエットのボディは、まるで陸を走るクジラのようですが、シトロエンならではのデザインを愛するファンには高く評価されていました。
C6は2006年から2010年にかけて日本にも正規輸入され、デザインコンシャスなユーザーに今も愛されています。
その後、C6は2016年にフルモデルチェンジされて2代目が登場しましたが、デザインはスタイリッシュな普通のセダンとなってしまい、かつてのシトロエンらしさは薄れてしまいました。
●ランチア「テージス」
高級車ながらかなりユニークなフロントフェイスを採用した「テージス」
日本におけるランチアのモデルというと、1970年代のスーパーカーブームで脚光を浴びた「ストラトス」や、1990年代に世界ラリー選手権で活躍した「デルタ HFインテグラーレ」などのスポーツカーが広く知られていますが、コンパクトカーやセダン、ステーションワゴンと、さまざまなジャンルのクルマを生産してきたメーカーです。
なかでもユニークなモデルが、2001年に発売された高級セダンの「テージス」で、ランチアのフラッグシップモデルでした。
テージス最大の特徴はフロントフェイスにあり、小ぶりな縦格子のフロントグリルに、変形したひし形のようなヘッドライトを配置。
テージスのデザインはコンセプトカーをほぼそのまま市販化したかたちで、ランチアはクラシカルな高級車を目指したといいますが、パッと見はげっ歯類のような印象です。反対にリアのデザインはシンプルで、前後の意匠に大きなギャップがあります。
テージスはイタリアではプレステージサルーンとして、2009年までフルモデルチェンジすることなく生産され、ローマ教皇が乗る「パパモビル」にも採用されました。
■「醜い」と評された高級車と、とにかく個性を主張したスポーツカーとは
●フォード「スコーピオ」
「醜い」とまで揶揄された欧州フォードの高級モデル2代目「スコーピオ」
アメリカのビッグ3のひとつフォードは、今から100年以上も前に欧州へ進出してイギリスやドイツで現地生産を開始。1967年には欧州フォードとして統一され、アメリカ本国のラインナップとは異なる、欧州フォード独自のモデルを開発しました。
そのなかの1台が、1985年に誕生したラグジュアリーカーの初代「スコーピオ」です。
欧州製ラグジュアリーカーというと、昔からメルセデス・ベンツとBMWが高いシェアを誇っていますが、それに対抗してスコーピオは開発されました。
ボディタイプは当初、5ドアハッチバックのみでしたが後にセダンとステーションワゴンが加わり、デザインも奇をてらわないオーソドックスなスタイルとし、欧州での評価は非常に高く、1986年の「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したほどです。
そして、1994年に登場した2代目では、内外装のデザインを一新。しかし、小ぶりなヘッドライトと同じく小ぶりなグリルを配したフロントフェイスは高級車らしからぬ雰囲気で、さらに厚みが強調されてボッテリとしたリアのデザインが酷評され、販売は極端に低迷しました。
後にデザインの一部変更がおこなわれましたが販売台数が好転することなく、スコーピオは1998年に生産を終了。後継車は無く、欧州フォードはラグジュアリーカー市場から撤退してしまいました。
●TVR「サガリス」
個性的なモデルが多いTVRのなかでもかなり奇抜な「サガリス」
かつてイギリスには、大小含めると数多くのスポーツカーメーカーが存在していました。そのなかのひとつが少量生産のメーカーであるTVRで、とにかく個性的で斬新なデザインのスポーツカーを数多く輩出。
しかし、TVRは幾度かオーナーが変わり、2006年に事実上の経営破綻となっていまいました。その少し前の2004年に誕生したのが「サガリス」です。
サガリスは個性的なモデルが多いTVRのモデルのなかでも集大成といえるデザインで、全体のフォルムは抑揚のあるグラマラスなロングノーズ・ショートデッキの、古典的なFRスポーツカーと形容できます。
そしてサガリスのハイライトはフロントフェイスで、極端なスラントノーズに吊り上がったブーメラン状のヘッドライトを配置。そのヘッドライトから続くフロントフェンダー上部は、サメのエラのような造形です。
ボンネットには巨大なエアアウトレットを縦に2列設置するなど、まるで流麗なフォルムに対してのアンチテーゼのようです。
そして、前述のとおり経営破綻によってサガリスは生産を終了。その後、TVRはさらにオーナーが変わりつつ経営再建を目指し、2017年には新型モデルとして2代目「グリフィス」が発表されました。
※ ※ ※
本文中に登場するシトロエン アミは「これこそシトロエン」というべき、異形のデザインのモデルです。
そして、アミの名が2020年に小型EVとして復活。最高速度は45km/h以下に設定され、本国フランスでは14歳から運転免許が無くても運転できます。
このEVアミのデザインもかなり個性的で、一見の価値ありです。
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