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新型「ノアヴォク・ステップワゴン」3ナンバー車になぜ変更? 大型化の恩恵は? ボディ拡大が必要な訳

くるまのニュース / 2022年6月9日 7時10分

最近発売された新型車を見ると、3ナンバーの大型ボディを採用するモデルが多く存在します。かつて主流だった小型の5ナンバー車が減少し、大きなボディのクルマが続々と登場する理由にはどのようなことがあるのでしょうか。

■新型「ノアヴォク」も新型「ステップワゴン」もボディが拡大!

 2022年に登場した売れ筋の新型車として、ミニバンのトヨタ新型「ノア/ヴォクシー」と、ホンダ新型「ステップワゴン」があります。

 いずれも先代型の標準ボディは5ナンバーサイズでしたが、新型ではすべて3ナンバー車に拡大されました。

 5ナンバーとは、小型乗用車に使われるナンバーです。ナンバープレートの右上の3桁の数字(分類番号)が「5」から始まるもので、全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下、排気量2000cc以下のすべてを満たす乗用車が該当し、それを超える乗用車が3ナンバーとなります。

 新型ノア/ヴォクシーは、エアロ仕様、標準仕様ともに全長は4695mmに収まりますが、全幅は全車が1730mm。

 新型ステップワゴンは、従来の標準ボディに相当する「エアー」の全長は4800mm、スパーダは4830mmに達し、全幅も1750mmとワイドです。

 5ナンバーサイズだった先代ステップワゴンの標準ボディと、新型のエアーでボディの大きさを比べると、新型は110mm長く、55mm幅広くなりました。

 そのほかの新型車でも3ナンバー車が多く存在。

 全長が4500mm以下のコンパクトなSUVでは、トヨタ「ヤリスクロス」「カローラクロス」、ホンダ「ヴェゼル」、日産「キックス」、マツダ「CX-30」など、すべて全幅のワイドな3ナンバー車です。

 一方で、5ナンバーサイズのSUVはトヨタ「ライズ」/ダイハツ「ロッキー」やスズキ「クロスビー」など少数に限られます。

 セダンについては、ホンダ「グレイス」やトヨタ「プレミオ/アリオン」などが生産終了となり、5ナンバーサイズに収まる車種は、今ではトヨタ「カローラ」の継続生産型となる「アクシオ」しかありません。

 昨今発売される新型車で、ボディサイズが大きい3ナンバー車が増えたのはなぜなのでしょうか。

 新型ステップワゴンの開発者はボディを拡大した理由について次のようにいいます。

「全長を4800mm以上に伸ばした理由は衝突安全性を向上させるためで、全幅の拡大は外観を力強く見せることが目的です。

 そのためにボディを拡大しても車内の広さはあまり変わりません。それでもサイドウインドーの部分は、左右方向に広がり、車内の開放感が増しています」

 設計の新しい車種は、側面衝突時の安全性を向上させるため、ピラー(柱)やサイドシル(乗降時に跨ぐ敷居の部分)を強固に造り込んでいます。そうなると全幅も拡大する傾向があるのです。

 逆説のような話ですが「小回りの良さを維持するために、3ナンバー車にする」という話も聞かれます。

 というのも、サイドメンバー(ボディの底面に配置されたプラットフォームの基本骨格)の位置関係によっては、全幅を5ナンバーサイズに抑えると、前輪が干渉して最大舵角が小さくなることがあるからです。

 そこでボディを3ナンバーサイズに拡幅するとサイドメンバーなどとタイヤの間に余裕が生まれて最大舵角も大きくなり、小回り性能が向上することがあります。

■ 3ナンバー車が増えていても、実際に売れているのは5ナンバー車!?

 ほかにも3ナンバー車が増えた理由として、走行安定性の向上も挙げられます。

 全幅をワイドにすれば、トレッド(左右のホイールの間隔)も広がって、安定性を高められます。

 とくに最近は背が高いSUVが増えており、全高を拡大させながら走行安定性を確保するために、全幅を広げてボディの縦横比をセダンやワゴンに近付けるというわけです。

 例えばコンパクトカーのトヨタ「ヤリス」は全高が1500mm、全幅が1695mmと、全幅は全高の113%になります。

全幅1920mmとかなり大型化されたレクサス新型「RX」全幅1920mmとかなり大型化されたレクサス新型「RX」

 全高が1700mmのSUVが、ボディの縦横比をヤリスと等しくするには、全幅を113%の1921mmまで拡幅しなければなりません。そのためSUVには全幅が1800mmを超える車種が多いのです。

 2022年6月にレクサス新型「RX」が世界初公開されましたが、先代型と比べて全長は変えずに全幅は25mm拡大して1920mmとしました。また、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も60mm伸ばしました。

 このように背が高く重心も高いSUVで走行安定性を追求すると、全幅を拡大する必要があります。そこに衝突安全性の向上も加わり、全幅を拡大するニーズが一層強まりました。

 3ナンバー化は外観の見栄えも影響しています。全幅が広がると、視覚的な安定感も強調されるからです。

 とくにSUVでは、全幅を拡大しないと外観が腰高に見えるという事情もあり、ワイドな3ナンバー化でデザインのバランスを取っているというわけです。

 根本的なクルマ造りの話としては、商品開発が海外向けになっていることも3ナンバー車が多くなった理由のひとつです。

 セダンはその典型で、海外指向を強めたことで3ナンバーサイズのセダンが増加して、国内での売れ行きが下がって5ナンバーセダンはますます減りました。

 ワゴンも減っています。ワゴンは日本ではミニバンに顧客を奪われ、海外ではSUVに押され、売れ行きを下げました。ワゴンのニーズが下がって車種数も減少しています。

 こういった販売動向になり、国内で新車として販売されるクルマの40%近くを軽自動車が占めています。

 小型/普通車についても、売れ筋はヤリスやトヨタ「ルーミー」「アクア」、日産「ノート」、ホンダ「フィット」といった5ナンバーサイズのコンパクトカーになり、国内販売台数の約25%に達します。

 軽自動車とコンパクトカーを合計すると、国内で新車として売られるクルマの60%以上になり、ライズやトヨタ「シエンタ」、ホンダ「フリード」といった5ナンバーサイズのSUVやミニバンも加えると70%に達するのです。

 つまり3ナンバー車が急増しているのに、実際に購入されている車種は軽自動車を含めて5ナンバー車が中心です。

 衝突安全性能や走行安定性を向上させるため、さまざまなカテゴリで3ナンバー車が増えていますが、日本のユーザーが本当に望んでいるのは、安心して使える運転のしやすい5ナンバー車なのです。

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