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トヨタがヒョンデに先を越される? トヨタにこそやって欲しかった「水素スポーツカー」が韓国から発表された!

くるまのニュース / 2022年7月19日 18時10分

2022年7月、韓国・ヒョンデのモータースポーツ部門から燃料電池+電池のスポーツモデルが発表されました。市販化も想定されているといいます。どのようなクルマなのでしょうか。

■FCVの覇権争い、トヨタはどうする!?

 韓国・現代自動車(ヒョンデ)が2022年7月、突如として燃料電池+電池を組み合わせたスポーツモデル「N ビジョン 74」を発表しました。ヒョンデのモータースポーツ部門の手によるもので、2025年頃の市販化も計画されているといいます。
 
 しかし燃料電池自動車(FCV)で世界TOPを争うトヨタからこうした話は聞かれません。FCVの覇権争いは大丈夫なのでしょうか。

 燃料電池自動車(FCV)といえばトヨタが世界最先端だと思っている人も多いでしょう。確かに大きく先行していました。

 けれど現行型の「MIRAI」になって進化が止まってしまいました。あまりに販売台数が伸びなかったため、熱意を失ったのかもしれません。

 加えて最近は水素エンジンに注力しており、燃料電池で競技車両を作ったり楽しいクルマを作ろうというパワーも感じません。私(国沢光宏)のような燃料電池応援団としちゃ寂しい限りです。

 そんな中、韓国・現代自動車(ヒョンデ)が突如、燃料電池+電池のスポーツモデル「N ビジョン 74」を発表しました。 

 日本でいえばトヨタの「GR」に相当するヒョンデの「N」(WRCを中核としたスポーツモデルディビジョン)という部門によるもので、現時点ではコンセプトカーながら、2025年あたりの発売を考えているといいます。

 かつてイタリアのカロッツェリア(デザイン工房)ジウジアーロにデザインを依頼した1974年のコンセプトカー「ポニークーペ」を模したデザインに、500kW以上という高出力な後輪2モーターの燃料電池車を組み合わせたもので、蓄電用に62.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しています。

 日本の自動車メーカーが情熱を失った「クルマ本来の楽しさ&夢」をキッチリ追いかけたいということらしい。

 日本人は忘れてしまっているけれど、世界レベルで見ると、スポーツモデルがそのメーカーのブランドイメージを作ってくれます。

 だからこそ高性能車を作らなくなった日本の自動車メーカーって世界規模で見たらジリ貧状態。このままでは、やがて家電製品のように日本ブランドが忘れさられることになってしまいます。

 今や日本ブランドのテレビなど絶滅危惧種と考えれば自明のこと。燃料電池スポーツモデル、本来ならトヨタがやるべきジャンルです。

 もっといえば、2025年くらいになると純エンジンの高性能パワーユニットは消えていく。こうなった時にスポーツモデルをどうしようということになることは間違いなし。

 トヨタや日産の動きを見ると、将来のスポーツモデルには電気自動車などを考えているようです。

 けれど電気自動車のハイパフォーマンスカーを作ろうとすれば、電池を大量に搭載しなければならず重くなる。同時に充電時間も掛かってしまいます。

 そんななか、ヒョンデは燃料電池でスポーツモデルを作ろうと提案してきました。

 水素なら充填時間3分程度。燃料電池だけの出力じゃ足りないとなれば、ある程度の容量を持つ電池でカバーしてくれます。

 サーキット走行をイメージしてください。

 コースインと同時に、燃料電池はフル出力を出し続ける。減速やアクセル全開じゃない時は余剰になった電力を電池に貯める。フル加速時は燃料電池+電池の合計を使うというもの。

 これだと電池だけ使うスポーツモデルより大幅に軽くできるし、長い時間掛かる充電だって不要です。

 しかも燃料電池技術は、トヨタやホンダと並ぶヒョンデのストロングポイントでもあります。フェラーリやポルシェ、当然の如くテスラなどと勝負しても負けないクルマになる可能性を持つのです。

 もちろん課題だって多い。

 なかでも厳しいのが冷却。電池の冷却も燃料電池の冷却も技術レベル高い。私が参戦してきたレースやラリーでも、日産EV「リーフ」やFCVのMIRAIは、最後まで冷却に苦しみました。

 この点、ヒョンデN部門の責任者に聞いてみたら「その通りです。燃料電池と電池、モーターの冷却は凄く凄く難しい」。

 この答えを聞いて少し驚く。夢物語じゃなく、すでに相当レベル高いところまで開発は進んでいるということです。

 トヨタも燃料電池のスポーツモデルをやるべきだと思う。繰り返しますが、このままだと家電の二の舞になります。

 思い出して欲しい。

 2010年時点で、日本の電気自動車技術は間違いなく世界TOPだったと思います。私は2013年、リーフを競技車両に仕立てて全日本ラリーに出場したけれど、電気自動車の面白さと課題が明確に解りました。

 おなじように燃料電池車も2015年から競技で使い始め、これまた改良を加えていくことで着実にポテンシャルアップ。世界で最も燃料電池のノウハウを持っていたと考えます。

 しかし、すでに電気自動車は完全に周回遅れになってしまった。もはや日本の電気自動車技術で世界に勝負できる部分なしです。

 2013年から育てていけば、現在進行形で世界と勝負できていたろう。当時の日産、そんなこと全く考えておらず。

 このままだと燃料電池技術も追いつかれ、抜かれてしまうかもしれない。

 我が国は完全に「茹でガエル」状態になった感じ。大いに心配です。

 世界を見ると「嫌韓」というコンセプト無し。日本人の大半が未だ韓国を日本の2ラップ遅れくらいに考えているようです。

 実際、日本語堪能なヒョンデのチャン社長に聞くと「ハイブリッド技術はもうトヨタに追いつけません。だから次世代の技術で追いつこうと思っています」。

 自動車業界は今が剣が峰。いや、すでに追いつかれ、抜かれているメーカーもあります。

 日本はもう少し危機感を持つべきです。

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