眼帯着用で「運転」してもいい? 両目時より見えづらく危険? 違反にならないのか
くるまのニュース / 2022年8月29日 8時10分
運転免許を取得・更新する際の適性試験には「視力」が含まれます。もし何らかの理由で片目に「眼帯」を付けることになった場合、そのまま運転をして問題ないのでしょうか。それとも、違反となり罪に問われるのでしょうか。
■眼帯をつけて運転する行為は違反になる?
眼に怪我・病気を患うと治療の一環で、四六時中「眼帯」の装着が必要になることがあります。
では、片目に眼帯を付けた状態で、クルマの運転をしても大丈夫なのでしょうか。
そもそも、運転免許を新規取得もしくは更新する際には「適性試験」があり、適性検査には視力検査も含まれます。
合格基準の視力を有していない人は、免許を持つことができません。すなわち運転もしてはいけないということにもなります。
適性試験における視力の合格基準は、普通免許の場合「両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上」かつ「一眼の視力が0.3に満たない方、若しくは一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること」となります。
眼帯を付ける場合は、後者の「一眼の視力が0.3に満たない方、若しくは一眼が見えない方」に該当。
つまり、眼帯を付けていないもう片方の目の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上あれば、合格水準は満たしていることになります。
一方で、大型、中型(限定無し)、けん引、第二種運転免許などの場合、適性試験における視力の合格基準は、「両眼で0.8以上、かつ、一眼がそれぞれ0.5以上であること」と定められており、普通免許のように片方の目での救済措置は用意されておらず、両目での運転しか認められていません。
では、普通免許において、眼帯を付けて運転することは交通違反に該当してしまうのでしょうか。
首都圏の警察署の担当者は、眼帯をつけての運転について以下のように話します。
「結論からいいますと、眼帯をつけているから違反になるということはありませんが、極力控えたほうが良いです。
クルマを運転する際には視力に異常がないことや、手足に問題がないことが条件となっており、眼帯をするということは、視力に影響を与えてしまうということになります。
また、眼帯をしたことによってハンドル操作や運転の視野に影響を与えてしまい、その結果事故を引き起こしてしまった場合、『安全運転義務違反』に該当する可能性があります」
このように、眼帯をすることによって視野が狭くなり、死角となる範囲が大きくなる恐れもあるため、眼帯を装着しながらの運転は控えるのが望ましいでしょう。
■元々身体が不自由である人の運転はどうなる?
たとえ眼帯を付けての運転は危険が伴うため、推奨できる行為ではありません。
では、元々身体が不自由である人の運転や運転免許取得はどのようになっているのでしょうか。前出の関係者は、以下のように話します。
「運転免許取得の際、生まれつき片目が見えないというような人は、バックミラーを大きいものにしていただいたり、生まれつき片手が不自由な人にはハンドルに補助を取り付けたりと、条件つきの取得が可能です」
身体障害者が運転免許の新規取得や更新をおこなう場合、基本的には通常の運転免許取得の流れと変わりませんが、ケースによっては特別な適性検査をおこなう必要があります。
また、日本身障運転者支援機構によると適性検査の対象になった場合、「運転シュミレーターで運転の操作や操作する力を計測したり、操作の確実性・迅速性などを検査し、視野に障害があった場合、視野検査等も実施する」といいます。
そのほかにも「どんなことにクルマを利用するのか」「代わりに運転してくれる家族がいるか」といった、社会的要素も検査したうえで、免許取得や更新の可否を決定しています。
この適性検査の結果「不適格」「無条件適格」「条件付適格」のいずれかに判断され、条件付で取得できた場合においては、さまざまな限定条件が設けられます。
運転免許証にはそれぞれの条件が記されている
もっとも定番の条件としてあげられるのは「眼鏡等」の条件です。
前述のとおり、運転免許取得には一定の視力が必要となりますが、視力が悪い人などは「眼鏡」「コンタクト」「オルソケラトロジー(医療用コンタクト)」などで矯正した上で適性検査を通過することが可能です。
この場合、「眼鏡等」の条件下で運転が可能ですが、万が一、眼鏡やコンタクトなどを装着せずに運転した場合には、条件違反に該当してしまうおそれがあります。
さらにそのほかにも、「下肢で運転できるAT車に限るものとする」「義手を使用するものとする」というように、さまざまな条件が指定されます。
※ ※ ※
たとえ両目の視力がよい人であっても、片目に眼帯を付けると、想像以上に視野は狭まります。
両目のときよりも死角が圧倒的に増え、首を大きく動かさないと左右が見渡せないこともあります。両目では見えていた文字がよく見えなくなったり、チカチカしてストレスを感じることもあるかもしれません。
安全上の観点からは、眼帯を付けての運転はできるだけ避けることが望ましいでしょう。
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