なぜ今スバルは「アウトドア」に力を入れる? 里山lifeで“スバルらしい”世界観を実体感!
くるまのニュース / 2022年10月4日 20時10分
スバルが「SUBARU×里山life体験会」なるイベントを報道陣向けに開催。「里山life」に着目したのには、どのような狙いがあるのでしょうか。
■一風変わった「里山life体験会」に参加してみた!
スバルがちょっと変わった感じの報道陣向け「体験会」を実施しました。題して「SUBARU×里山life体験会」です。
まず、東京都渋谷区恵比寿のスバル本社から、「レヴォーグ」や「レガシィ アウトバック」に乗って千葉県の房総半島を目指して走ります。
ここでは、次世代「アイサイト」や高度運転支援システム「アイサイトX」を体感し、またスバル車の真骨頂である水平対向エンジンやシンメトリカルAWDによる走りの愉しさを味わいました。
そして館山自動車道の鋸南保田ICを降りて、長狭街道を鴨川方面へ15分ほど走ると、街道の右側に2022年8月にオープンしたばかりの「Hangar eight(ハンガーエイト)」(千葉県鴨川市金束)が見えてきました。
ここは地元鴨川の人たちがさまざまなイベントを開催したり、クルマ愛好家などが集ったり、オートキャンプもできる多目的エリアです。
今回の「SUBARU×里山life体験会」はここをベースキャンプとし、鴨川の各所に移住、または二拠点生活をしている4家族のお宅を訪問して、「里山life」を実感します。
ハンガーエイトでは、THULEなどキャンプやアウトドア系のディーラーオプションパーツを装着したレヴォーグやアウトバックが展示されたほか、純正サウンドシステムのハーマンカードンに関する技術説明などがありました。
スバルのアクセサリー用品を企画する関係者は「スバルの用品というとSTIなどが中心というイメージが強く、こうしたアウトドア系を強く押し出す機会は少ない」といいます。
確かに、日本市場におけるスバル車のイメージは降雪地帯での生活四駆、また以前参戦していたWRC(世界ラリー選手権)や近年のニュルブルクリンク24時間レースへ挑戦するSTIなどのイメージが強いように思われます。
アウトドアやキャンプを対象としたイベントも一部の販売店では実施した事例があるようですが、今回のようにスバル本社が主体となって、こうした分野での利活用方法を具体的に示すことはとても珍しいと感じました。
実際に、レヴォーグの隣に設置されたテントのなかでコーヒーを飲んだり、アウトバックに張ったルーフトップテントのなかで寝そべったり、ゆったりとした時間を過ごしてみると、そこにスバル車があることをとくに意識するのではなく、場の雰囲気のなかにスバル車も一緒に参加している、といった“スバルの世界観”が感じられます。
のんびりムードのなかで、鴨川の移住者の皆さんを交えた食事会と、スバル開発陣も加わったミニトークショーがおこなわれましたが、ここでの主役はクルマではなく「里山での暮らし」です。
参加したのは、素敵なガレージをメインとして生活を楽しむ藤井照久さん、農地所有適格法人・苗目を運営する井上隆太郎さん、人と自然が共存しながら持続して生活していくパーマカルチャーを推奨するUzumeのヘイミッシュ・マーフィーさん、そして二拠点生活者の神向寺信二さんです。
翌日は実際に皆さんのお宅を拝見したのですが、それぞれ独自性がある生活を満喫し、熱心かつ楽しく仕事に取り組まれている姿に感銘を受けました。
■鴨川の山の中にある「SUBARU里山スタジオ」の目的とは
スバルが「里山life」に焦点をあてた背景には何があるのでしょうか。
実は、スバルは鴨川で「SUBARU里山スタジオ」(2021年6月プレオープン、8月正式オープン)を運用しており、同地域の住民とすでに深い関係があります。
SUBARU里山スタジオ(千葉県鴨川市)
SUBARU里山スタジオの目的は、スバル本社広報部として「スバル車の使用シーンを想起させる(スバルらしい)撮影や試乗ができる取材拠点」という位置付けでスタートしました。
具体的な事例としては、2021年6月の「新型フォレスター撮影会」、同年11月の「新型レガシィ アウトバック撮影会」、同年12月「XVライフスタイル取材会」などを開催し、雑誌やウェブ、YouTube、SNSなど多方面に向けた情報発信を展開しています。
SUBARU里山スタジオを運用するなかで、スバル関係者は「定期的な除草や間伐、また害獣・水害・地すべり対策など『自然を維持すること』の難しさを実感した」と、これまでの経緯を振り返ります。
今後は「スバル社員ボランティアによるプロジェクト化」を進める予定で、ここでの狙いは「スバルらしさ」をスバル社員が再認識することだといいます。
自動車産業界は近年、電動化を筆頭として大きな時代変化の真っ只中にいます。
スバルとしては、初の量産型EV「ソルテラ」を世に送り出し、次の世代のアイサイトではAI(人工知能)を活用するシステムを研究開発しているところですが、いまこそ改めて「スバルらしさとは何か?」をスバル社員はもとより、部品メーカーや販売店の関係者が再認識し、これからのスバルのあり方を真剣に考えていく必要があるということです。
このようなわけで、スバルはその大きな転換期において、SUBARU里山スタジオというフィールドを中心に、地元鴨川の人たちとの交流をさらに深めつつ、改めて自らを見つめなおそうとしているのです。
スバルが描くこのような世界観が、日本のスバルユーザーにも自然なかたちで受け入れられることを期待したいと思います。
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