車が「キーキー」音がする! すぐに停めるべき?放っておいても大丈夫? 緊急事態ではないケースとは
くるまのニュース / 2023年2月12日 16時10分
クルマを運転中、「キーキー」といった音が聞こえてくる場合があります。クルマからそのような異音が発生すると「緊急事態」を連想させますが、じつはすべてが緊急を表しているわけではないようです。
■ブレーキの「キーキー」音の正体は?
クルマを運転中に、「キーキー」といった音が聞こえてくる場合があります。聞き慣れない異音が発生すると不安に感じるドライバーもいるかもしれませんが、このような音がすべて危険に直結しているわけではありません。
この音はブレーキを踏み込んだ際に聞こえることが多く、「ブレーキ鳴き」と呼ばれています。
ブレーキは運転操作の基本となる減速から緊急回避など、クルマを操作する上で重要な役割を担っています。
そんなブレーキから「キーキー」といった悲鳴が上がれば、誰しもが心配して当然です。しかし、なんら異常がない場合でもブレーキからそういった音が発生するケースがあるようです。
それでは、どのようなときにブレーキ鳴きが発生するのでしょうか。
最近のクルマの多くはディスクブレーキが採用されており、タイヤとともに回転するブレーキローター(ブレーキディスク)を付属しているブレーキパッド(摩擦材)で押さえつけることで、摩擦の力によってクルマを減速させる仕組みです。
ブレーキ鳴きの原因について、自動車整備工場の担当者は以下のように話します。
「パッドは摩擦を生み出すため、使用していくうちに必然的に摩耗していき、パッド全体がローターにまんべんなく接地されずに『キーキー』といった音を立てることがあります」と話します。
それに加え、冬場は特にブレーキが冷え切った状態となっているため金属が熱を帯びておらず、より摩擦が発生しやすくなります。これが原因で、気温が低いときはブレーキ鳴きが起こる可能性も高い傾向にあるようです。
また、先出の担当者はそのほかの原因について「低速走行時においても、ブレーキ鳴きが発生する可能性があります」といいます。
ブレーキを踏み込むとブレーキパッドとローターが接触することで振動が発生する仕組みになっています。低速時に軽くブレーキを踏み込んだ場合では、その振動が発生しやすくブレーキ鳴きも起こりやすくなるようです。
一方で、一部のディスクブレーキのなかには「パッドウェアインジケーター」というものが装備されています。
これはブレーキの使用によってパッドがすり減っていき、交換が必要な程度まで摩耗しているときに意図的に音が発せられる装置です。
先出の担当者によれば「インジケーターによりブレーキ鳴きが起こることもあります」といいます。
音によってドライバーにパッドの交換が必要であることを知らせ、ブレーキのメンテナンス不足による大きな事故に繋がらないよう対策を促すものです。
では、インジケーターによるブレーキ鳴きが発生している場合、今すぐにでも交換したほうが良いのでしょうか。
これについて先出の担当者は「インジケーターが鳴ったからといって、すぐに交換しないといけないわけではないですが、可能な限り早い段階で点検と交換を進めています」と説明します。
このように、同じブレーキ鳴きでもさまざまな要因があり「キーキー」と音が聞こえた場合でも、すべてのケースで緊急事態が起こっているわけではないようです。
■ブレーキの「キーキー音」対策は?
一見、不安を感じるブレーキ鳴きですが、すべてのケースが危険に直結しているわけではないことが明らかになりました。
それではこのような音が発生した際の対処法はあるのでしょうか。
一般的なディスクブレーキ
前出の担当者は、ブレーキ鳴きの対処法について以下のように話します。
「ブレーキパッドが冷えているときや雨天時の走行中は、ブレーキを踏むときに少し細かく、かつしっかりと踏んでみると良いかもしれません。
ブレーキは踏んでいくことによる摩擦で熱を持ち柔らかくなるので、細かく踏んだり、深くしっかりと踏むことで暖めることができます。基本的には走っていれば自然と柔らかくなり、音も直るので気にすることはないと思います」
ブレーキが冷えている時のブレーキ鳴きは、ブレーキ操作によってローターやパッドに熱を持たせることで金属が膨張し、音の原因となる摩擦が減ることから鳴きもなくなるというわけです。
また、ウェアインジケーターによるブレーキ鳴きの場合、ブレーキパッドが減少していることが原因となっているため、交換が必要です。
これを放置してしまうと、最終的にブレーキパットが摩耗して消滅してしまい、ブレーキディスクを押さえつけることができなくなってしまうので、ブレーキがいずれ効かなくなります。
インジケーターの音が聞こえた場合は、ロードサービスを呼んだり、クルマを直ちに停車させる必要はないものの、ブレーキが摩耗していることには変わりないので、販売店や整備工場に症状を伝え、点検の予約を入れるなど、できる限り迅速な対応が望ましいでしょう。
さらに、ブレーキパットが摩耗していなくても、ディスク側が摩耗している場合にブレーキ鳴きが発生するケースもあります。
その場合は、ディスク部を研磨してパットが接触する面を滑らかにする整備やディスク本体を交換する場合もあるようです。
ブレーキディスクの摩耗も音が鳴ったからとはいえ、直ちにクルマを停める必要はないものの、早めの交換が望ましいといえます。
※ ※ ※
必ずしも「キーキー」というブレーキ鳴きが発生したからといって、慌ててクルマを停めたりすることは必要なく、緊急事態に直結しているわけではないケースも多く存在するようです。
しかし一方で、異音とともに明らかにブレーキが効かない、ブレーキが異常に重たいなど、「キーキー」音に加えて重大なブレーキのトラブルが発生する可能性も考えられるため、異音が発生した場合は独断で「大丈夫だろう」という判断はせずに販売店や整備工場などに相談し、いちど点検してもらうことが望ましいといえます。
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