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実は廃れてない? クルマの「サンルーフ」は「パノラマルーフ」に変化? いま増加傾向にある背景とは

くるまのニュース / 2023年2月14日 9時10分

クルマにはさまざまな装備が存在します。そのなかでかつては高級車の定番装備とも言われた「サンルーフ」が時代の移り変わりなどにより一時期衰退していました。しかし、最近では「パノラマルーフ」として再び定番化しつつあるようです。

■減少傾向にあったサンルーフが「パノラマルーフ」で復権

 かつては「あこがれの装備」のひとつとされていたサンルーフ。
 
 2000年代以降は減少傾向にあったと言われていますが、近年では「パノラマルーフ」という形で復権を果たしつつありますが、その背景にはどのような要因があったのでしょうか。

 基本的に開閉式の通気が可能なものを指すサンルーフは、手動式は1968年のホンダ「N360」、電動式は1978年のホンダ「プレリュード」がそれぞれ国産初といわれています。

 頭上から光が差し込むことで高い解放感を体感できるため当時の「デートカーブーム」を支えたほか、1980年代から1990年代頃にかけては「あこがれの装備」のひとつとして人気の高かった装備です。

 しかし2000年代以降になると一部の上級モデルをのぞいて、サンルーフを標準装備もしくはメーカーオプションとして採用されるモデルは減少傾向にありました。

 その背景には、換気が可能なことから車内でタバコを吸うユーザーからも支持されていましたが愛煙家の減少というユーザー側の事情も要因にあるといいます。

 またメーカー側においては大きくわけて2つの事情があったとされています。

 1つは燃費性能への影響です。サンルーフを装着すると非装着車に対して車両重量が増加するため、その分燃費性能に悪影響をおよぼしますが、ハイブリッド車に代表されるエコカーが注目されていたなかでは、サンルーフよりも軽量化を優先する声の方が大きかったようです。

 もう1つは、走行安定性への影響です。車体上部の重量増につながるサンルーフは走行安定性にもネガティブな影響を与えますが、重心の高いSUVやミニバンが増えたことから、特に敬遠されたといわれています。

 これらに加えて、クルマが高機能化し価格が上昇していくなかで、不必要な装備を削減することで車両価格を少しでも抑えるために、サンルーフを装着するユーザーが減少したという指摘もあります。

 こうしたさまざまな事情が重なり合ったことで、一部の上級モデルをのぞいて、サンルーフは下火となっていきました。

 一方、近年は開放感のある開閉しないパノラマルーフを備えたモデルが登場し、にわかに注目を集めています。

 たとえば、2020年6月に発売された「ハリアー」には、調光機能のついたパノラマルーフがオプションで設定されているほか、レクサス初のBEV専用モデルとなる「RZ」にも同じものが採用されています。

 2021年4月に登場したホンダ「ヴェゼル」は、最上級グレードの「PLaY」にフロントとリアそれぞれのシートの上部をガラス張りにしたパノラマルーフが標準装備となっています。

 また、2021年9月に発売されたトヨタ「カローラクロス」にも、最上級グレードの「Z」と中間グレードの「S」に対して、フロントからリアまでルーフのほぼ全面をガラスにするパノラマルーフがメーカーオプションとして設定されています。

 ほかにも、2023年1月に発売されたトヨタ「プリウス」にも後席まで広がる大型のパノラマルーフがZグレードにメーカーオプションとして設定されました。

 こうしたパノラマルーフは、いずれも開閉機能を持っていません。一方、後部座席にまでおよぶガラスルーフ化による、圧倒的な開放感はそれぞれのモデルの大きな魅力となっています。

 実際にパノラマルーフの装着に関して、とある国産ディーラーでは次のように話しています。

「当社のクルマでパノラマルーフを付けられるのは上級グレードがほとんどです。また装着を希望するお客様の多くは『開放感が欲しい』という理由から付けられているようです」

■「サンルーフ」から「パノラマルーフ」に? 増加の理由は?

 では、なぜ近年になって広大なガラス張りのパノラマルーフという形で再注目されているのでしょうか。

 この点について、カローラクロスやハリアー、RZに採用されているサンルーフを製造している、AGCの担当者は次のように話します。

「ルーフ全面をガラスで覆うようなサンルーフ(パノラマルーフ)が登場した背景には、自動車用ガラス製造技術の向上が関係しています。

 近年では、遮熱・断熱性能に優れた『Low-Eコート付きガラス』が登場し、さらに軽量かつ十分な強度を持つようになったことで、採用されるモデルが増えたと考えています。

『Low Emissivity (低放射)』の意味を持つ『Low-Eコート付きガラス』は、特殊な金属膜をコートすることで放射による伝熱を抑えた遮熱・断熱性能が高いガラスとして、おもに住宅用などに使用されてきました」

レクサス新型「RZ450e」(北米仕様)のパノラマルーフレクサス新型「RZ450e」(北米仕様)のパノラマルーフ

 これまでは、重量や衝突安全性などの観点から自動車用途での採用が難しかったとされていましたが、技術面や製造面での進歩などによって、現在ではひとつの選択肢となったようです。

 また、パノラマルーフの採用による新たなメリットについて、前出の担当者は以下のように話します。

「『Low-Eコート付きガラス』に加えて、調光機能を持つガラスが登場したことも、パノラマルーフ採用する車種が増えたことの一因と思います。

 これによりシェードレスが可能となったことで、車体の軽量化や車内ヘッドクリアランスの確保へとつながっています」

 昨今のクルマにとって軽量化や居住性向上は最重要課題のひとつです。ルーフのガラス化がクルマの性能向上に果たす役割が大きくなればなるほど、パノラマルーフを採用するモデルも増えると見られています。

※ ※ ※

 パノラマルーフを採用するモデルが増えた背景には、クルマのグローバル化が関係しているという指摘もあります。

 カローラクロスやハリアーはグローバルモデルとして中国や欧米といった主要な海外市場で展開されていますが、こうした地域では日本よりもパノラマルーフの人気が高いと言われています。

 前述の理由に加えて、こうした事情もパノラマルーフが増えた要因のひとつと考えられています。

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