トヨタの小型ハイトワゴン「ルーミー」人気絶大のなか次期型登場のウワサも!? 新型モデルはどうなる?
くるまのニュース / 2023年7月20日 10時10分
トヨタのコンパクトワゴン「ルーミー」の販売が好調です。その一方で、新型モデル登場のウワサも聞こえていますが、どのようなモデルになることが予想されるのでしょうか。
■軽以上ミニバン以下の「ルーミー」がちょうど良い!
小型/普通車の登録台数ランキングで、長年にわたって上位に入る車種がトヨタ「ルーミー」です。
ルーミーが絶好調に売られている大きな理由は、全長を3700mm(標準ボディ)に抑えた5ナンバー車でありながら、全高は1700mmを上まわり、後席側のドアをスライド式にしたことです。
ボディが短くて最小回転半径も4.6m~4.7mに収まるため、混雑した街中でも運転しやすいことも魅力です。その一方で背の高いボディによって車内が広く、スライドドアも装着するため、子どもを抱えた状態でも乗り降りしやすく、子育て世代のユーザーに最適な機能を備えています。
そして、後席を畳むと自転車なども積める広い荷室になり、「多機能デッキボード」を反転させれば汚れを落としやすい防汚シートが貼られているため、お手入れも簡単。収納設備も豊富で、日常的な使い勝手を徹底的に高めました。
ルーミーは2列シートのコンパクトカーですが、機能は3列のミニバンに近いといえるでしょう。
ルーミーの価格は、実用装備を充実させた売れ筋グレードの「G」が175万3500円。トヨタのミニバン「ノア」は、装備がシンプルな「X・2WD」でも267万円(8人乗り)ですから、ルーミーは約100万円安いです
トヨタの販売店からも「ルーミーはミニバンからの乗り替えが多い」という話が聞かれ、3列シートが必須条件でない場合、ルーミーは合理的かつ経済的な選択でしょう。
ルーミーの開発と生産は、トヨタの完全子会社になるダイハツが受け持っています。ルーミーが発売された2016年時点では、姉妹車のトヨタ「タンク」も用意されていました。
そして、ルーミーはトヨタ店とカローラ店で、タンクはトヨペット店とネッツ店で販売されていたのですが、2020年5月にトヨタは全店舗で全車種を取り扱うように国内販売体制を変更して、姉妹車が不要になりました。
そこで2020年9月のマイナーチェンジで、タンクを廃止してルーミーのみになり、需要が集中して登録台数も増えたという事情があります。
この影響でルーミーは、コロナ禍の真っ最中で他車が苦戦を強いられる中、2021年の1か月平均登録台数は約1万1200台に達しています。
※ ※ ※
国内販売1位のホンダ「N-BOX」のほか、ダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」といった軽自動車のスーパーハイトワゴンの人気が高いのですが、これらの軽自動車も全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを装着している点はルーミーと同様です。
一方で、ユーザーによっては「スーパーハイトワゴンを買いたいが、軽自動車ではなく、全幅が少し広くてエンジン排気量も大きな小型車が欲しい」というニーズがあります。
つまり人気の高いN-BOXやタントを拡大したモデルとして、ルーミーが購入されている事情もあるのです。
■新型ルーミーはどんなモデルで登場する?
小型車サイズのスーパーハイトワゴンにはスズキ「ソリオ」もありますが、ブランド力や販売店舗数の違いによって売れ行きはルーミーが圧倒的に多いです。
ただしルーミーには欠点も散見されます。ガソリンエンジンの動力性能、走行安定性、ステアリングを操作したときの車両の反応、乗り心地に不満があり、ターボはノイズが耳障りです。
ルーミーの車内
後席は頭上と足元の空間は広いですが、座り心地は柔軟性に乏しく、床と座面の間隔が近いために足を前方へ投げ出す座り方になってしまいます。
こういった欠点が生じた理由は、ルーミーが約2年間という短い期間で開発されたからです。
2014年には初代N-BOX(先代)、3代目タント(先代)、スズキ初代「ハスラー」(先代)などがヒットして、国内の新車販売台数に占める軽自動車比率が40%を超えました。小型車から軽自動車への乗り替えも相次いで、軽自動車を用意しないトヨタは焦りました。
そこでダイハツに大急ぎでルーミーとその姉妹車を開発させ、2年後の2016年に発売。そのためにルーミーは、コンパクトSUVのトヨタ「ライズ」やダイハツ「ロッキー」に使われるDNGAの考え方に基づいたプラットフォームや新しいエンジンを採用できませんでした。この影響で、走行性能と乗り心地を中心に、前述の欠点が生じたのです。
従ってルーミーを買う時は、ライバル車のソリオ、同じトヨタ車のシエンタなどと試乗車の乗り比べをしてみると良いでしょう。
ルーミーに乗ってみて不満を感じたら、次期型を待つ方法もあります。
トヨタの販売店は次のようにいいます。
「ルーミーは2023年末に後継車種に切り替わるようです。エンジンは現在の直列3気筒1リッターから1.2リッターに変更され、ハイブリッドが新たに搭載される可能性も高いです」
2023年10月には「ジャパンモビリティショー2023(以前の東京モーターショー)」が開催され、次期ルーミーのプロトタイプはこれに出展される可能性があります。
次期ルーミーのボディサイズは、シエンタとの関係もあるために現行型をほぼ踏襲しますが、エンジンやプラットフォームは、ライズやロッキーと同じタイプに刷新されるでしょう。
エンジンは販売店がいうように、ライズやロッキーと同型の1.2リッター直列3気筒で、「eスマートハイブリッド」も用意されることが予想されます。
新型では、現行型の欠点とされる走行性能と乗り心地が改善され、後席の座り心地も柔軟になって安全装備も進化。内装の質も高まるでしょう。
現行型の商品力は、ライバル車のソリオに負けますが、次期型ではそれを上まわってくるはず。ルーミー(タンク含む)は現行モデルの保有台数も多いことから乗り替え需要が豊富で、フルモデルチェンジすれば必ず好調に売れると筆者(渡辺陽一郎)は考えます。
十分なコストを費やした入念な開発をおこなうため、商品力が大きく向上する一方で、価格はあまり高くはならないと思われます。
ルーミーの競争相手は、N-BOXやタントなど軽自動車のスーパーハイトワゴンで、割高感が生じると販売合戦に負けるからです。
その結果、新型ルーミーは現行型以上に売れ行きを伸ばし、国内の新車市場は、軽自動車と併せてスーパーハイトワゴンの天国になるでしょう。
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