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なぜ? ソフトバンクが「自動運転」の未来を考える!? 車両側だけじゃない人側の課題とは

くるまのニュース / 2023年8月28日 7時40分

ソフトバンクでは、自動運転技術の社会実装に向けた研究・開発の一環で、自動運転運用プラットフォームを構築しています。そんなソフトバンクが考える社会実装に向けた課題とはどのようなものなのでしょうか。

■ソフトバンクが考える自動運転の「今後の課題」とは

 ソフトバンクと言えば通信キャリアというイメージが強いですが、実は自動運転技術の社会実装に向けた研究・開発の一環で、自動運転運用プラットフォームを構築しています。
 
 そんなソフトバンクが考える自動運転社会とはどのようなものなのでしょうか。

 昨今、自動車メーカーやIT企業など様々な業界で注目されているのが自動運転です。

 自動運転にはいくつかのレベルが存在します。日本ではアメリカの「自動車技術会」が定義する「自動運転レベル」と同じように分類されています。

 レベル1では、すでに現在市販されている運転支援技術の「衝突被害軽減ブレーキ」や「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」、「車線からはみ出さない機能(LKAS)」などが含まれます。

 レベル2では、「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」と「車線維持機能」が組み合わさったものや、特定の条件下でクルマが自動で車線変更や追い越しを行う、または手放し運転が可能になるというものです。

 レベル3は「条件付き自動運転」とも言われ、ドライバーの意思決定の中でシステムが全ての運転操作を行うものでレクサス「LS」やホンダ「レジェンド」に搭載されたことでも話題となりました。

自動運転にはいくつかのレベルに分けられる(資料:国土交通省)自動運転にはいくつかのレベルに分けられる(資料:国土交通省)

 一方レベル4では、あくまで特定の地域などの条件下ではあるもののトラブルが発生してシステムが作動できない場合でも、ドライバーが運転することなく安全に車両を停止させるなど、高度な自動運転が必要です。

 そうしたことからレベル4以上の自動運転を実現することで、ドライバー不足や運転免許証の返納による移動困難者の増加など社会課題の解決に貢献することができます。

 その移動や交通に関わる社会課題を解決するため、自動運転車両を中心とした「MaaS(Mobility as a Service)」の社会実装に向けた研究開発を進めているのが「ソフトバンク 先端技術研究所」(以下ソフトバンク)です。

 ソフトバンクでは「自動運転の運用システムの構築(運用コストの高さの解決)」、「安全性向上のための仕組みづくり(自動運転に関する技術レベルが未成熟、社会受容性の低さの解決)」、「ビジネスモデルの問題を解決するMaaSの取り組み(ビジネスモデルが未確立の解決)」という課題に取り組んでいます。

 その中で自動運転の運用コストで大きく占めるのが、遠隔での自動運転車両の監視です。

 自動運転レベル4を提供する際、道路交通法並びに道路運送法および貨物自動車運用事業法において、それぞれ「特定自動運行主任者」および「自動運行従事者」(以下「自動運行監視者」)の配置が求められています。

 車両に搭載された「ADS(自動運転システム)」が、クルマの基本となる「走る」「曲がる」「止まる」といった走行制御を担います。

 それに対して自動運行監視者の行う遠隔監視業務では、まず車内外で発生する問題を認識し、それに対する次のアクションを判断することが必要です。

 自動運転社会においては自動運行監視者1人がいかに多くの車両を遠隔地から監視できるかということが、自動運転事業成功のポイントとなってくるのです。

■自動運転社会における遠隔監視の未来とは

 そこでソフトバンクでは、車内外で発生する問題を遠隔から認識するケースとして「1.最小リスク状態に陥った際に、車両側からの通知を受ける」、「2.車内で何かしらのトラブルが発生した際に、乗員・乗客、または第三者からの連絡を受ける」、「3.車両側だけではトラブルを判断できない際に、別のレイヤーで問題を検知する」が挙げられると考えていと言います。

 これらのケースに対して、ソフトバンクではAIを活用してこれらの問題を検知し、自動運行監視者に必要な情報を通知する手法の開発に取り組んでいます。

 遠隔監視AIの開発に関してのソフトバンクは次のように説明しています。

「近年、日本各地で行われている複雑な交通環境下の自動運転実証においては、自動運行監視者は映像などのさまざまなデータを目で見て問題を認知していました。

 しかし遠隔監視AIの活用によって常時それらのデータを人が監視する必要はなくなり、自動運行監視者1名でより多くの車両を監視できるようになります」

自動運転運用プラットフォームによるタスクの優先度提示自動運転運用プラットフォームによるタスクの優先度提示

 その一方で自動運行監視者のタスク管理も重要になってきます。

 ソフトバンクでは、この課題を解決するために、自動運行監視者のタスク管理を自動化するシステムを開発。

 タスク管理を効率的に行う上で重要なことは、人が真に対応すべきタスクにシステムで優先度を自動で付与して、自動運行監視者に提示することだと言い、提示された優先度に応じて順番に対応していけば、早急に対応すべき問題を見落とすことが無くなります。

 なおソフトバンクが2023年6月に竹芝エリア(東京都港区)で自動運転の遠隔監視業務の省人化に向けた実証実験を行いました。

 この実証実験では、車両から送られてくるさまざまなデータを、開発した遠隔監視AIによって分析。

 人が対応すべき問題に絞ってタスク管理することによって、運行監視者1名で計10台の車両の遠隔監視業務が行えることが分かっています。

実証実験における遠隔管理室の様子実証実験における遠隔管理室の様子

※ ※ ※

 また、自動運転運用プラットフォームの有効性とスケーラビリティーを評価するため、ソフトバンクは東京海上日動火災保険株式会社と共同で検証を行いました。

 検証では、自動車事故などの緊急通報業務を行っているプロのオペレーターに当該プラットフォームを実運用を想定して利用することで、車内外で発生するさまざまな問題に遠隔から的確かつ効率的に対応できるかを評価。

 検証の結果は、自動運転運用プラットフォームを活用することにより、自動運行監視者2名で数百台規模の自動運転車から発生する問題に対応できることがわかっています。

 さらには、車両が停止している時間を最小限に抑えることによって、サービス上の課題解決に貢献できることが確認されたと言います。

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