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ホンダ新型「スーパーセダン」登場! 2026年に市販化!? 斬新すぎる超“低全高仕様”「サルーン」の狙いとは

くるまのニュース / 2024年3月28日 11時50分

ホンダは、2024年1月に米国で初公開した新型グローバルEV「Honda 0(ホンダ ゼロ)シリーズ」のコンセプトモデルを、3月5日から3月10日までホンダショールーム「Hondaウエルカムプラザ青山」(東京都港区)で国内初公開しました。市販化も想定されているといいますが、どのようなモデルなのでしょうか。

■低車高なのに広い!? 驚きのパッケージングを実現できた「技」とは

 ホンダは2026年にグローバルで0(ゼロ)シリーズを展開します。これは専用プラットフォームをベースにしたBEV(バッテリーEV:電気自動車)のシリーズ名で、2030年までにグローバルでEVの年間生産200万台超を計画するホンダの要のブランドとなります。
 
 そのコンセプトモデル「SALOON(サルーン)」は、ホンダ0シリーズが目指すコンセプトを最も分かりやすく表現したものだといいます。

 2モデルが公開されたコンセプトモデルのうち、サルーンは次世代のセダンと位置付けられたモデルです。

 ホンダによると、専用プラットフォームの大きな特徴は3つあり、Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)だと表現しています。

 Thinは、フロア高を抑えた”薄い”EV専用プラットフォームにより、低全高のスタイルなどデザインの可能性を拡張するとともに、高い空力性能を実現するもの。

 Lightは、原点に立ち返って生み出した独自技術で、これまでのEVの定説を覆す軽快な走りと電費性能を実現していくとします。

 そしてWiseは、これまで培ってきた知見と知能化技術の進化により、クルマそのものが賢くなる、ホンダ独自のソフトウェアデファインドモビリティ(SDV)を実現していくことを指します。

 今回先行発表されたコンセプトモデルは、それらの狙いが最も表現でき、分かりやすいモデルとして選ばれたそうです。

 ではまずはそのデザインから見ていきましょう。

 サルーンは、まさに低全高が見事に表現されたシルエットで、一見スーパーカーのようにも見えます。

 しかし、その室内は驚くほど広く、ホンダの設計思想のひとつMM思想(マンマキシム、メカミニマム)が見事に表現されています。

 その空間を実現できたひとつにはエクステリアデザインの妙がありました。

 本田技術研究所デザインセンター e-モビリティデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ チーフエンジニアデザイナーの清水 陽祐さんは、サルーンのデザインに加えた技巧について「クルマを正面から見て、サイドウインドウを立てました」と説明します。そうすることで、低いフォルムのなかでも室内の左右幅を十分に確保したのです。

 しかしそうすると、少し貧弱なクルマにも見えてしまう恐れがあり、ボディを内側に少しえぐるようにしたところ、その結果としてホイールが張り出して見えるようになり、スタンスの良さが強調できるようになりました。

 これらは0シリーズ全体のデザインの特徴とのことなので、今後出て来る0シリーズも同じような考えが取り入れられていくことでしょう。

■大型ガルウィングドアの4シーターは実現可能!?

 そしてサルーンの最大の特徴は、大きなガルウイングドアといっても過言ではありません。

 これはコンセプトモデルだから採用されたのか、それとも生産化をにらんだものなのか、デザイナーの清水さんも、開発を担当した本田技研工業 電動事業開発本部 BEV開発センター BEV完成車統括部 BEV商品企画部 部長の中野 弘二さんも、共に明言は避けました。

4シーター車で「1枚モノガルウィング」は前例があった!?4シーター車で「1枚モノガルウィング」は前例があった!?

 しかし中野さんは、「技術としては可能ですが、市販に向けてはまだ検討段階です。ただし、全体のフォルム的にはほぼこのままの姿で出せます」とのことでした。

 果たして4座(あるいは5座)のガルウイングドアが実現するのでしょうか。

 コンセプトモデルとしては過去いくつもの例はありました。

 例えば、ランボルギーニ「マルツァル」は、後のエスパーダのコンセプトモデルとして1967年にジュネーブショーで発表され、同年のモナコグランプリにおいてモナコ公国のレーニエ3世がグレース王妃を乗せてパレードしたことで一躍知られるようになりました。

 その後カロッツェリアベルトーネのコレクションに収蔵されていましたが、ベルトーネ破綻後オークションに出品され、現在はコレクターのもとにあるという噂です。

 マルツァルはカロッツェリア「ベルトーネ」に当時在籍していたマルチェロ・ガンディーニ氏が中心となってデザインされました。

 ガンディーニ氏は、世界的に知られるスーパーカーのランボルギーニ「カウンタック」をはじめ、様々なスーパースポーツカーをデザインして来た鬼才です。

 その視点で今回のサルーンを見ると、例えばリアのオーバーハング部分の蹴りあがり方は、まるでカウンタックのようにも映り、ディテールにおいてかなり影響があったのかもしれません。

 しかし、その全体は全く異なっています。

 ホンダ0シリーズのデザインコンセプトは「The Art of Resonance」というものです。

 デザイナーの清水さんは次のように話します。

「コンセプトで語っている“アート”とは、本田宗一郎がもともと話していた『機能的な要素だけを突き詰めていっても製品にしかならない。そこに美術的な美しさみたいなものを付与していないとお客様に手に取ってもらえる商品にならない』というところからこの言葉が出てきました。

 もうひとつ、アートはお客様の心や気持ちを動かすようなものだと思うのです。そういったプロダクトに我々もなっていきたい。

 デザインというと、広義には非常にたくさんの人に向けて、使い勝手よく問題を解決してくれるみたいなプローチがあると思いますし、当然、たくさんのお客さんに共感してもらいたいと思っています。しかし、だからこそホンダを買ったんだよねというコアなファンをまずは作っていきたい。

 好き嫌いが出てしまうところもあると思うんですけど、それによってファンを獲得してファンの皆さんに共感していただけるようなアートのようなデザインになっていきたい。そういう意味合いがあります」

■シンプル過ぎるデザインには「理由」があった!

 それでは、The Art of Resonanceの“レゾナンス”とは何を指すのでしょう。清水氏は、次のように説明します。

「レゾナンスは、共感とか共振という意味合いで使っています。それはホンダのMM思想(Man-Maximum、Mecha-Minimum:人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に)にも代表されるような二律相反する事象の両立、2つをいい感じに丸め込むのではなくて、お互いをきちんと伸ばした上でひとつのプロダクトとして実現させるという意味合いで使っています」

ディテール処理に頼らずデザインを“面”で勝負した新型グローバルEV「Honda 0(ホンダ ゼロ)シリーズ」コンセプトモデル「SALOON(サルーン)」ディテール処理に頼らずデザインを“面”で勝負した新型グローバルEV「Honda 0(ホンダ ゼロ)シリーズ」コンセプトモデル「SALOON(サルーン)」

 そうした思想を反映し、サルーンは細部のディテール処理などではなく、デザインを“面”で勝負したといいます。

「サルーンはモノフォルムで、サイドビューはとてもシンプルですが、クルマを輪切りにするとすごくスポーティなフォルムになります。しかも室内に乗っていただくと、想像できないくらい広いでしょう。

 そういった驚きをいかにシンプルかつ独創的にまとめていくかを突き詰めました。ですから余計な線とかはなるべく廃しました」

 ウェッジシェイプでかつ車高の低いクルマでありながら、キャラクターラインなどを出来るだけ廃すると、一般的にはのぺっとしたまとまりのないデザインになりがちですが、サルーンからは決してそんなことは感じられません。

 それは、面の抑揚や光の反射度合いまで綿密に計算したからでしょう。

 公開されたコンセプトモデルは黒なので、なかなか表現しにくい(伝わりづらい)ところはありますが、例えばシルバーのボディカラーでサルーンを見ることができれば、面の抑揚がはっきりわかり、かなり違った印象になると思います。

※ ※ ※

 前述の通り、サルーンはホンダの次世代セダンだといいます。

 ハンドリングも、ホンダのこれまでの知見を活かし、人車一体の操る喜びを提供するそうですし、当然得意のADAS(先進運転支援機能)も充実するとのこと。

 ぜひ斬新なガルウイングドアを採用し、新たな提案をしながらも、クルマとしての楽しさを実現してほしいものです。

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