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なぜ40年前の「AE86(ハチロク)」が今も人気? 1000万円の個体も! でも昔は「タダであげてた」ってマジか!? 事情通に聞いてみた

くるまのニュース / 2024年4月5日 12時30分

「AE86(エーイーハチロク)」ことトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」は、1983年デビューから40年が経過した今も根強い人気を誇りますが、どのようにして支持を集めていったのでしょうか。その事情について「ハチロクのオーソリティ」に聞きました。

■「ハチロクのオーソリティ」に聞いた人気の秘密とは

 1983年に登場した「AE86(エーイーハチロク)」ことトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」は、現在も300、400万円以上という中古車価格をキープする高い人気を誇り、なかには1000万円というケースも少なくありません。
 
 しかしかつては、ごくありふれた存在だったといいます。ではなぜ今、ハチロクにこれほどの人気が集まるのでしょうか。

 現在、1990年代・80年代に販売された中古車・絶版車の市場価格が高騰していますが、その代表例といえるのが1983年に登場した4代目カローラレビン/スプリンタートレノです。

 当時、ベースの「カローラ/スプリンター」の形式がE80系で、搭載されるエンジンがA型のため型式に「AE」を冠し「AE85/86」となっていました。

 さらにレビン/トレノには2種類のエンジンがあり、ベーシックな1.5リッターSOHCの「3A-U」型が“AE85”なのに対し、名機とうたわれる1.6リッターDOHC「4A-G」型を積むスポーツモデルが“AE86”とされました。

 その型式から“ハチロク”と呼ばれて親しまれています。

 大衆車ブランドのラインナップということもあって、新車当時は100万円台前半から中盤という廉価な設定でした。

 2ドアと3ドア(ハッチバック)という2つのボディタイプが用意され、さらにトレノにはリトラクタブルヘッドライトが備わるなど、外観上の差別化も図られていました。

 2024年3月現在におけるAE86の価格を調べてみると、200万円台どころか300、400万円台はあたりまえ。

 中には500万円から600万円、1000万円オーバーのプライスタグを掲げている店もありました。

 しかし、筆者(遠藤イヅル:1971年生まれの52歳)が免許を取得した1990年前後では、AE86の価格はとても安く、「先輩から安価で譲ってもらう」あるいは「タダでもらう」ような存在でした。

 当時は不人気とまではいわずとも、現在のような異常人気はなかったことを覚えていますが、では現在、なぜこれほどAE86は注目を集めているのでしょうか。

 当時からAE86を乗りこなし、その後もチューニング雑誌でAE86の記事を担当、そして現在もAE86に乗り続ける“ハチロクのオーソリティ”こと菅原 次郎氏に、当時の事情や理由を聞いてみました。

「発売当初は、『1世代前のTE71型に、4A-G型を載せただけ』みたいな感じで、ある意味で少し古臭く感じたことは確かです。新開発と言いながらも、4A-G型も取り立てて特別に速いエンジンでもありませんでした。

 ただ、エンジンも足回りも古典的でシンプルな構造だからこそ、イジリやすくてパーツも豊富で、その気になれば自分たちで何でも自由に改造できたことで、次第に人気に火が付いていきました。

 シンプルな構造なので、クルマの挙動もシンプル=人間の本能や感性に素直な乗り味、と言えばいいのでしょうか。

 リアサスペンションの設計も古いリジッド式でしたが、4WSやHICAS、トーコントロールなどの電子的なデバイスがない分、不自然な動きがなく、ドリフトコントロールもし易かったのです」

■S13「シルビア」登場で“走り屋人気”の勢力図が動いた!?

 菅原氏は、AE86の扱いやすさについて評する一方で、乗り手を選ぶクルマでもあったと話します。

「ハチロクは扱いやすい一方、エンジンが非力なので、速く走ろうと思ったら『できるだけ高回転をキープしてブレーキを踏まない』『誰よりも長くアクセルを踏み続ける、誰よりも早くブレーキは踏まない』という走りをしないと速く走れないのです。

 つまり『誰でも速く走れるクルマ』ではなく、『乗り手しだいで速く走らせることもできるクルマ』でした。

 ハチロクは『ドライバーを育てるクルマ』と言えました」

「レビン/トレノ」のなかでも「 GTV」は硬派な走り屋御用達グレードでした「レビン/トレノ」のなかでも「 GTV」は硬派な走り屋御用達グレードでした

 後輪駆動で安価なAE86は、1980年代後半から1990年代初頭には若いドライバーが腕を磨く手ごろな中古車として支持を集めます。

「1.8リッター+ターボ+後輪駆動の日産『シルビア(5代目/S13型)』が1988年に発売されると、やがてボロボロのAE86が先輩から後輩に破格値で譲られはじめました。

 私のハチロクも、先輩から譲ってもらったクルマでした。

 当時はすでにAE86の後継モデル『AE92』は前輪駆動化され、(後輪駆動の)三菱 『ランサーターボ』も生産終了。そんな状況で、若い世代が走りを楽しむには、安価で中古の台数も多いAE86は最適なクルマだったのです」(菅原氏)

 そんなハチロクが改めて注目され始めたのは、やはり人気コミック「頭文字D」の連載が始まってからでしょう。

 主人公が乗るAE86(白/黒ツートーンカラー、3ドアの「トレノ GT-APEX」)が、はるかに高性能なスポーツモデルを打ち負かすストーリーとして、今も人気の作品です。

「ハチロクは『自分で乗りこなす楽しみ=人車一体感』を与えてくれるクルマです。

 現代のクルマはパワーがありますが、電子制御されていて、どうしても『クルマに乗らされている感』があります。車体も大きく、車重も重いです。

 しかしハチロクは軽量かつコンパクトなのも魅力ですね。それが現在でも人気を保つ大きな理由なのではないでしょうか」

 なお当時、筆者は某大学の自動車部に在籍し、ジムカーナなどの競技を行っていたのですが、AE86以外ではホンダ「シビック(3代目/通称“ワンダーシビック”)」、ホンダ「バラードスポーツCR-X」といった、1.5リッターから1.6リッタークラスで、AE86同様に比較的安価に流通していたスポーツモデルが多く愛用されていました。

 これらの中古車も現在では高値安定で推移していますが、その理由もAE86と同じなのかもしれません。

※ ※ ※

 最後に菅原氏は、こんな面白いことを教えてくれました。

「ちなみに当時、走り屋のハチロクの定番といえば、『レビンのGTV』。

 白黒ツートンの今で言う“パンダトレノ”『トレノGT-APEX』は、走り屋からは“デートカー”と見なされていたんですよ(笑)」

 GT-APEXは、デジタルメーターやパワーステアリングが備わる上級グレードだったのに対し、GTVやGTはパワステすら備わらない硬派な仕様でした。

 しかも当時の走り屋は流通量の多いレビンを好んで乗っていたこともあって、リトラが備わりスマートなスタイルのトレノ GT-APEXとなると、ちょっと軟派なイメージがあったかもしれません。

 頭文字D以降はトレノ/3ドアモデルの人気も高まりましたが、現在との感覚の違いに改めて驚かされます。

[※編集部注記:誤記があったため2024年4月5日に本文の一部を修正しました]

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