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全長3m級で470万円!? 「小さな超高級車」がスゴかった! “匠”が仕上げた「豪華すぎ内装」採用! 日本でも販売した「老舗ブランド」の激レア車とは

くるまのニュース / 2024年5月4日 16時10分

全長4mにも満たないのに、極めて豪華に誂えた内装を備えた「シグネット」とはどのようなクルマなのでしょうか。

■英国の「老舗ブランド」がつくった「超小型&高級車」

 世界でも有数の高級車メーカー、アストンマーティン。しかし同社が、きわめて小さなモデルを作っていたことをご存知でしょうか。
 
 それが「シグネット」です。しかもその成り立ちはとても変わっていました。どのようなクルマだったのでしょうか。

 アストンマーティンといえば、世界に名だたる英国の高級車メーカーです。1913年の設立以来、高品質・高性能なスポーツカーを少数販売するスタイルで知られています。

 近年では高級SUV市場にも参入しており、2500万円以上する「DBX」や、3200万円以上もする「DB707」なども販売しています。

 基本的には大排気量かつ6気筒以上のマルチシリンダー・エンジンを搭載した大きなモデルを生産していますが、2010年に発表されたシグネットだけは、それらとはまったく異なる「超小型アストンマーティン」として誕生しました。

 日本的なものさしで言えば、「唯一の5ナンバー車」なのですが、シグネットの小ささは突出していました。

 というのも、そのベースが全長3mほどのシティコミューター、トヨタ「iQ」だったからです。

 高級車メーカーのアストンマーティンがiQを用いたコンパクトカーを作った理由は、コンパクトカー市場を無視できないこと、東京のような渋滞が多く道が狭い都市部での移動を可能とする高級小型車が必要と考えた、とアストンマーティンは主張していました。

 そしてベース車に、優れたシャーシ性能、コンパクトさ、高い安全性能を備えたiQが選ばれたといいます。

 とはいえ、iQは当時130~180万円台で販売されていた小型車です。アストンマーティンがiQを使って高級小型車を生み出すというニュースは、かなりの驚きを持って受け止められました。

 しかし完成したシグネットは、同社の持つイメージ、クラフトマンシップ、ブランド性を見事に反映。ですから登場時は再び驚きの声があがりました。

 ではどうやってアストンマーティンは、それらをiQに盛り込むことができたのでしょうか。それは、シグネットの生産方法にありました。

 iQは、トヨタの高岡工場(愛知県豊田市)から完成状態で出荷され、英国のアストンマーティン本社工場へ輸送。iQをバラバラにしてから、アストンマーティン独自のエクステリアやインテリアパーツを手作業で組み付けるという凝った方法を採りました。

 その作業時間は、1人で作業をした場合で150時間。この数字は、同社他モデルの200時間と遜色ないものでした。

 外装ではフロントウィンドウ、ヘッドライト、ドアパネル、ルーフ、リアフェンダーなどがiQから流用され、コロンとしたフォルムもそのままですが、フロントはアストンマーティンらしい横長のグリルによって精悍な顔つきに。

 リアは、ゲートのみならずドアノブまで、シグネット専用部品が用意されました。ボンネットやフロントフェンダーにもアウトレットが設けられており、ほかの高性能アストンマーティンを連想させます。

■異例なほどの「豪華づくし」 今ではプレミアのつくモデルに

 さらに、シグネットは車内にも見所がありました。

 ダッシュボードの造形などの基本的な部位はiQを踏襲するものの、シートだけでなくダッシュボード、ドアの内張に至るまで品質の良い本革で覆われており、アストンマーティンの高級クーペ「DB9」と変わらぬ仕立てになっていました。

 使用する本革の量も、DB9とほぼ同じだったそうです。天井はアルカンターラが貼られ、メーターの文字盤すら専用のデザインに交換されていました。

 一方で、97psを発生する1.3リッター直列4気筒DOHCエンジンに、5速MTもしくはCVTを組み合わせたパワートレイン、前後ストラット式のサスペンション、およびそのセッティングなどはiQのまま。

 とはいえ、さすがにアストンマーティンだけあって、遮音材を増量して車内の静粛性をアップしていました。

 このようにとても丁寧に生産されたシグネットは価格も高額となり、2011年の市販開始の際には、日本ではMT車が475万円から、CVT車が490万円からに設定されました。

 これは、iQの約3倍に相当します。なお英国市場では、日本円で620万円以上もしました。ただし、アストンマーティンの新車としては異例の低価格だったことも確かです。

DBシリーズと並んでも遜色のない仕上がりだったDBシリーズと並んでも遜色のない仕上がりだった

 そんなiQを、当初アストンマーティンではなんと年間4000台も生産する計画を立てていました。

 ところが、iQの“お化粧直し車”に高額を支払うユーザーが少なかったことなどが理由で販売は低迷。2013年までに約150台が生産されたのみで、販売を終えてしまいました。

 しかし、市販車の価格上昇が続く現在の視点で見ると、当時は高い!と思った価格にも、大きな価値があるように感じられます。

 残念なことに、いま手に入れようとしても、希少車であるシグネットは中古車市場ではプレミアがつき、当時の新車価格よりも大幅に高い800万円以上というプライスタグがついているケースもみられます。

※ ※ ※

 アストンマーティンの長い歴史でひときわ珍しい存在のシグネット。これ以来、アストンマーティンでは小型車の開発を行なっていません。

 しかし、これほど小さくなくとも、高級コンパクトSUV市場の拡大に伴い、再び「小さなアストンマーティン」を送り出す可能性はゼロではないと思います。

 その際はどのようなクルマになるのか、興味津々です。

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