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「えっ…!」スーパーカーと国産車「同じライト」ってマジ!? なぜ「ランボルギーニと日産」「ロータスとトヨタ」“共通パーツ”なのか

くるまのニュース / 2024年6月9日 19時10分

かつて、まったく異なるモデルでも似たようなヘッドライトが採用されるケースが珍しくありませんでした。そこには技術的な問題とは別に、そうせざるを得ないある大きな理由がありました。

■昔は似たようなヘッドライトが多かった! その理由とは?

 近年、一見するとまったく異なるように見えるモデル同士であっても、実は多くの部品が共有されているというケースはめずらしくありません。
 
 いわゆる「プラットフォーム戦略」と呼ばれるこうした手法は、多様化するユーザーのニーズへの対応とコスト削減や生産効率の向上を両立させるものとして、現在では多くの自動車メーカーによって採用されています。

 ただ、プラットフォームは同じモデルであっても、エクステリアやインテリアのデザインを変化させることで、それぞれのモデルの差別化を図ることが一般的です。

 たとえば、トヨタのミドルクラスSUV「ハリアー」と「RAV4」は、プラットフォームをはじめとする多くの部分を共有していますが、それぞれのデザインは大きく異なります。

 特に、ヘッドライトやリアコンビネーションランプをはじめとする灯火類は、そのモデルの印象を決定づける重要な要素のひとつということもあり、それぞれのモデルでオリジナルのデザインを採用するケースがほとんどです。

 一方、1970年代から1980年代頃のモデルを見ると、ヘッドライトのデザインが似通っているものが少なくありません。それどころか、まったく同じ部品を用いている例もしばしば見られます。

 いわゆる「プラットフォーム戦略」が一般的ではなかった当時、なぜ灯火類だけが積極的に共有されたのでしょうか。

 そこには当時世界最大の自動車販売市場であった、アメリカの主要な工業規格である通称「SAE規格」が大きく関わっています。

 実は「自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers:SAE)」が定めたSAE規格では、1984年までわずか4つ(丸型および角形の2灯/4灯)の形状のヘッドライトしか認められていませんでした。

 その背景には、最重要保安部品のひとつであるヘッドライトが故障した際、広い国土をもつアメリカのどこであってもすぐに交換部品を用意できるようにするという理由があったとされています。

 そうした事情もあり、アメリカ国内で販売されるクルマのヘッドライトは事実上4種類のみに制限されていました。

 さらに、アメリカと日本の両市場を含む世界各国で販売されるモデルについても、多くの場合でこのSAE規格のヘッドライトが採用されていました。

 もちろん、それにくわえて、当時の技術では複雑なヘッドライトを製造することが難しかったという事情もあります。

 ただ、当時のクルマのヘッドライトのデザインにSAE規格が大きく関係していることは疑いようのない事実です。

■意外!? トヨタ AE86のテールランプを流用したスーパーカーとは

 いまでも根強い人気のある「リトラクタブルヘッドライト」も、実はSAE規格による産物と言えるものです。

 空力性能が特に重視されるスポーツカーでは、空気抵抗を減少させるためにフロントノーズを低くすることが望ましいとされますが、SAE規格のヘッドライトはそうしたデザインの実現をさまたげるものとして、多くのデザイナーを悩ませてきました。

意外!? トヨタ AE86「カローラレビン」のテールランプを流用したスーパーカーとは[写真はBEV(電気自動車)仕様「AE86 BEV コンセプト」(東京オートサロン2023出展・参考出品車)]意外!? トヨタ AE86「カローラレビン」のテールランプを流用したスーパーカーとは[写真はBEV(電気自動車)仕様「AE86 BEV コンセプト」(東京オートサロン2023出展・参考出品車)]

 そのなかで、リトラクタブルヘッドライトは空力性能とデザインを両立するためのベストな手段のひとつとして、1980年前後のスポーツカーなどに多く採用されるようになりました。

 一方、1990年代になると、アメリカなどの主要市場における規制緩和などもあって、ヘッドライトのデザインの自由度が大きく増したため、あえてリトラクタブルヘッドライトを採用する必要がなくなり、多くのクルマが一般的な埋込み型のヘッドライトを採用するようになったのです。

 ただ、当時の埋込み型のヘッドライトには一定の高さが必要であり、スポーツカーの低いフロントノーズと組み合わせると、ヘッドライトの部分が浮き上がるようなデザインとなることは避けられません。

 そうしたデザインを「良し」としなかったのが、当時を代表するスーパーカーであるランボルギーニ「ディアブロ」でした。

 1990年にデビューした際にはリトラクタブルヘッドライトが採用されていたディアブロですが、1999年に登場した後期型からは埋込み型のヘッドライトへと変更されました。

 その際、ヘッドライトカバーには日産「フェアレディZ」(4代目・Z32型)のものが採用されました。

 その背景には諸説ありますが、ディアブロらしいデザインを守りつつ各種規制をクリアできるのが当時のフェアレディZのヘッドライトであったと言われています。

 もちろん、ランボルギーニ自身がヘッドライトを製造するという選択肢もあったと思われますが、わずか1000台ほどのために法規対応をふまえてヘッドライトを開発・製造するのはあまりにリスクが大きいと判断されたようです。

 同様のケースはほかにもあります。

 今でも人気の高いトヨタ「カローラレビン」(AE86型・前期型の3ドアハッチバック用)と、ロータス「エスプリ」(後期モデル)のテールランプも、共通パーツの代表例として挙げられます。

 これは当時、トヨタがロータスに車両開発の協力を依頼するなどの関わりがあったことが少なからず影響していたようです。

 また2010年に登場したケーニグセグ「アゲーラ」のリアフォグランプとリフレクターには、マツダ「RX-7」のものが流用されています。

 新車価格が億単位におよぶ「ハイパーカー」のひとつであるアゲーラですが、あえてRX-7の部品を流用する狙いは、開発期間の短縮を図ることにあったと言われています。

※ ※ ※

 近年ではLEDライトが普及したことや、「デイタイムランニングライト(DRL)」の搭載が一部地域で義務付けられたことで、ヘッドライト周辺のデザインもさらに変化を見せつつあります。

 そのため、複数のモデルでヘッドライトを共有するというケースは今後さらに珍しいものとなっていきそうです。

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