三菱が新型「アウトランダー」発表! ヤマハ製の「画期的ユニット」搭載で“3年ぶり”に大進化! 実車を見て分かった「音」へのこだわりとは?
くるまのニュース / 2024年10月9日 13時30分
三菱は「アウトランダーPHEV」の大幅改良モデルを、2024年10月31日から販売します。今回の改良で「音」にもこだわったといいますが、実車を見た印象はどうだったのでしょうか。
■3年ぶりに大刷新! 新型「アウトランダーPHEV」発表!
2024年10月9日に、三菱はクロスオーバーSUV「アウトランダーPHEV」のマイナーチェンジモデルを発表し、同月31日から販売します。
新型アウトランダーPHEVはEV航続距離や動力性能・快適性を向上させるとともに、内外装の質感向上と機能・装備の充実化が図れたとのことですが、なかでも新たなサウンドシステムを導入したことが大きなトピックとなっています。
実車を見て分かった「音へのこだわり」とは、一体どのようなものなのでしょうか。
三菱が早くから培ってきた電動化技術と四輪制御技術を搭載し、SUVのPHEVとして世界的な人気を集めているアウトランダーPHEV。
現行モデルは2021年12月に登場し、「威風堂々」をコンセプトとした力強いデザイン、ツインモーター4WDと四輪制御技術「S-AWC」による高い動力性能、3列7人乗りシートが選べる選択肢の多さなどから、順調に販売台数を積み上げてきました。
今回の大幅改良では、その良さを生かしながらさらに磨き上げる方向で、全方位に洗練されたアウトランダーPHEVが完成したといいます。
そのひとつには、新たなユーザー層に響く「音へのこだわり」という、これまでにない魅力も加わりました。
改良されたポイントを具体的に見ていくと、まずはPHEVシステムのアップデート。
世の中が急速に電動化モデルへとシフトしていくなかで、たった3年とはいえ多くのプレミアムブランドからPHEVモデルが登場しました。
技術の進化スピードも速く、今後はそうしたアッパークラスのモデルとも競合していかなければならないことから、基本となる走りの部分を磨き上げています。
搭載されるリチウムイオンバッテリーを刷新し、容量が約13%増となる22.7kWhとなったことで、EV航続距離はエントリーグレードで従来の87kmから106km(WLTCモード)へと伸長。
そのほかのグレードでも、従来の83kmから102km(WLTCモード)と約20kmのアップとなっています。
ただ、ガソリンタンクがやや小さくなったため、V2HやV2Lでの稼働時間そのものは、例えばV2Hで従来は一般家庭で12日分の電源となったところが、11日分になっているとのこと。
とはいえ、それでもEV航続距離が伸びているのは日常使いでのメリットが大きいと感じます。
そして距離が伸びただけでなく、力強さとなめらかさが特徴のアウトランダーPHEVらしい走りは、さらにその特徴が際立っているとのこと。
走行中のエンジン始動頻度が低減し、高速道路の合流や追い越し時にも思い通りの気持ちのよい加速フィールが得られるようになっているといいます。
さらに、サスペンションチューニングを見直し、新開発タイヤを採用したことにも注目。
今までも乗り心地の良さには定評のあったアウトランダーPHEVですが、より上質な乗り味を目指し、電動パワーステアリングのアシスト力の最適化や、S-AWC制御の見直しなどを行い、旋回中の安定性もアップしているとのこと。
3年弱という短期間でこのような性能アップをするとは、開発チームの気合いが伝わってくるようです。
■これまでにない「音の進化」とは?
さて、今回大きな目玉となっているのが、アウトランダーPHEV専用にヤマハと共同開発した、これまでにない高い音質を追求している2つのオーディオシステムが全車に標準装備されていること。
「Dynamic Sound Yamaha Ultimate(ダイナミック サウンド ヤマハ アルティメット)」と「Dynamic Sound Yamaha Premium(ダイナミック サウンド ヤマハ プレミアム)」で、生演奏を聴いているようなリアルな音、クリアな高音、息遣いまでが聴こえるような「本当にいい音」を、楽器メーカーでもあるヤマハの知見と技術を最大限に生かして作り上げたといいます。
新しいサウンドシステムを採用しただけではなく、車内は不要なノイズの発生を低減するよう工夫されている。
グレードの「P」「G」「M」に標準装備されるダイナミック サウンド ヤマハ プレミアムは、ウーファーの同軸上にツィーターを配置したコアキシャルスピーカーをリアに採用し、計8個のスピーカーを搭載。
キレのあるダイナミックな低音と表情豊かな中高音を実現しています。
トップグレードの「P Executive Package」に標準装備で、PグレードとGグレードはオプション設定となっているダイナミック サウンド ヤマハ アルティメットは、計12個のスピーカーとDUALアンプの搭載に加え、車速に応じて音量や音質を自動調整してロードノイズの影響を減らすサウンド補正機能を採用。
原音に忠実な音にこだわり、高音を担うツィーターが周波数の高い領域を素早く動いて最大限に発揮できるよう、コイルにアルミを使って重量を一般的な銅線に比べて約50%軽量化しています。
低音を担うウーファーも駆動力をアップしており、標準スピーカーの約3倍にもなるとのこと。
力強く音を鳴らし続けるとウーファーは熱を持ってしまい、音の劣化や寿命にも影響しますが、今回はコイルの径を従来の20mmからプレミアムで25mm、アルティメットで38mmにまで大きくすることで、放熱性を上げているので安心して大音量で聴いてもらえるといいます。
さらに、車内を最高のリスニングルームとするため、スピーカーを搭載しているドアパネルはその裏から余計な音が入ってこないよう、隙間を1つずつ塞ぎ、スピーカーボックスの役割を与えることで不要なノイズの発生を低減。
補強パーツの大型化や溶接スポット増しなども行い、パネル剛性が現行アウトランダーに比べてアルティメットで約1.5倍もアップしているそう。
製造部門からは「そんなことやったら大変だよ」という反対もあったそうですが、アウトランダーPHEVに乗る人すべてに最高の音を体験してもらいたいという一心で、全部門一丸となって開発を進めたといいます。
ここで、同じ音源の同じ曲を使って、BOSEのサウンドシステムを搭載する現行アウトランダーPHEVと、ダイナミック サウンド ヤマハ プレミアムを搭載する新アウトランダーPHEV、ダイナミック サウンド ヤマハ アルティメットを搭載する新アウトランダーPHEVの3台で聴き比べをさせてもらいました。
ちなみに聴いたのは、ヴォーカル入りのJAZZ、Adoの「新時代」、クラシック「威風堂々」、宇多田ヒカル「First Love」の4曲。
まずはBOSEの現行モデルから。どれも普通にいい音なのですが、JAZZはあまり生身の息遣いのようなところまでは感じられず。
水が流れる音があるのですが、1カ所にとどまっているように聴こえました。
Adoは雑味が少し残る感じで、高音が割れるところもありました。
クラシックはどの楽器もフラットで、楽器の個性がなくオーケストラで聴いているイメージは湧かず。
宇多田ヒカルは、彼女独特のドラマティックな強弱が沈んでいる印象を受けました。
■新採用の「ヤマハ製サウンドシステム」を実際に聴き比べしてみた
続いてダイナミック サウンド ヤマハ プレミアム。
JAZZは低音の重奏感と厚みがアップしてバランスよく聴こえます。
水が左右に流れていくイメージが湧き、ヴォーカルの表情が想像できるようになりました。
先ほどは埋もれていたシンバルの音などが登場し、「こういう演奏だったんだ」という発見があります。
Adoは一気に進化し、ドラマティックな高音、骨に響く低音、疾走感が高まりテンションアップ。
かわいらしさから迫力まで、ズドーンと胸にきます。
クラシックは吹奏楽器ののびやかさがアップし、ステージの広がりが伝わってくるよう。
「指揮者が変わった」と感じたのは私だけではなかったはずです。
宇多田ヒカルは声に艶が増し、声の震えやのび、かすれや息づかいまでクリアに聴こえます。
ヴォーカルがクローズアップされる感じで断然いい音。
どれも、ここまで変わるとは驚きました。
「ダイナミック サウンド ヤマハ アルティメット」では計12個のスピーカーとDUALアンプを搭載。さらにロードノイズの影響を減らすサウンド補正機能も。
そして最後に期待が高まる中、ダイナミック サウンド ヤマハ アルティメットを試聴。
JAZZは、ヴォーカルがステージを動き回る感じが想像できるまでになり、車内の奥行きがぐんと広がったかのよう。
水の流れが立体的になり、ヴォーカルののびやかさが光ります。
Adoはオーケストラの生演奏で歌っているみたいなリアル感と、ヴォーカルがイキイキしているサウンドで包みこまれる感覚。
クラシックは1つ1つの楽器がそれぞれの魅力を発揮していて、打楽器の繊細な強弱も伝わってくるように。
隠れていた音が存在感をもって聴こえてくることで、胸に迫ってくるような演奏に浸ることができました。
宇多田ヒカルは、目の前で歌ってくれているようなライブ会場感がアップし、音域までが広がった感覚がドラマティックで、思わず拍手をしてしまいそうになったほど。
プレミアムでも驚いたのに、アルティメットはさらに別次元のいい音を届けてくれることを実感しました。
通常ならマイナーチェンジでここまで大掛かりにオーディオを変更することはないそうですが、今回はアウトランダーPHEVが提供できる価値と照らし合わせ、とても重要な要素だと判断して踏み切ったといいます。
そこでヤマハと手を組んだ理由として、ものづくりの会社としての多くの共通点と独自性に共感したことが大きかったといいます。
すでに100年以上にわたって国産ピアノを製作しているヤマハには、よりよい楽器づくりの技術と、演奏者が意のままに音を奏でられる楽器を提供するノウハウがあります。
加えて、自動車メーカーとの協業体制を構築しており、本物の音を知るサウンドマイスターが、そのモデルごとのサウンドコンセプトを具現化するという独自性も持ち合わせていることから、オーディオによってワクワクする体験に導くという、新しいカタチの“快適”の提供に挑戦したとのこと。
ロードノイズや風切り音といった走行中の騒音下でもいい音をクリアに届けるため、調音作業にもこだわり、雨の日でワイパーがハイの状態や、エアコンの強弱なども試して完成したオーディオシステム。
アルティメットでは、弾むビートでワクワクさせてくれる「Lively」、楽器やヴォーカルの細やかな音がより際立つ「Signature」、力強く自信が湧いてくるような音が聴きたい時の「Powerful」、刺激の強い音を抑えて会話を楽しむ際のBGMなどにピッタリの「Relaxing」と周波数特性の異なる4つのサウンドタイプをあらかじめ設定しており、シーンや気分、音楽のタイプなどによって選択することでまたちがった音が楽しめるようになっています。
このほか、外観はあまり変わっていないように見えますが、グリルシャッターを新設して空力がアップしたり、実はバンパーなどを新たに作り直しているとのこと。
インテリアではセンターディスプレイのグラフィックが一新され、より鮮明で情報がキャッチしやすくなったり、前席にシートベンチレーションが追加され、室内ランプがLED化。デジタルルームミラーがフレームレスで見やすくなり、アルミペダルで操作感が向上していたりと、細部まで磨き上げられたことがわかります。
そして、ヤマハとのタッグによって最高にいい音を手に入れた、新しいアウトランダーPHEV。
大きな楽器が積める大容量のラゲッジも健在で、バンドメンバーが乗れる7人乗りも選択できるとあって、これまでノーマークだった人たちからも注目を集めそうな予感でいっぱいです。
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