首相経験者の国葬基準明文化せず 政府、実施決定後に国会説明

記者会見する松野官房長官＝3日午後、首相官邸

　松野博一官房長官は3日の記者会見で、今後の首相経験者の国葬を巡り、実施基準を明文化しない方針を表明した。「国葬の検討に当たっては、時の内閣において責任を持って判断する」と述べた。実施決定後に国会に説明し、国葬終了後にも概要を国会に報告する考えを示した。関係者によると、政府が国葬に関して国会への対応方針を明らかにするのは初めて。野党などが求めた国会関与を巡る議論に区切りを付けたい考えだ。

　昨年9月の安倍晋三元首相の国葬を巡っては、国会への十分な説明がないまま実施を閣議決定した岸田文雄政権の姿勢に対し「法的根拠や基準を明確にすべきだ」などの批判が続出。国会の関与や一定のルールを設けるよう要求する声が上がっていたが、政府が事実上拒否した形だ。

　政府は国葬後、問題点を洗い出す有識者ヒアリングを実施し、昨年12月に論点整理を公表。今年1月に国会に報告し、国葬実施に当たってどのような手順を経るべきかを検討するとしていた。