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物質中の創発磁気モノポールが示す新規な集団振動現象を発見

共同通信PRワイヤー / 2024年6月3日 14時0分


このように様々なエレクトロニクス応用が期待されるため、磁気ヘッジホッグ格子が光やマイクロ波に応答してどのような振動現象や振動パターンを示すのかは基礎科学と技術応用の両方の観点から重要な問題です。しかし、これまでにそのような問題に取り組んだ研究は実験的にも理論的にもほとんどなく、未解明の謎として残っていました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406031647-O3-YE862oC1

図2: (a),(b) 磁気ヘッジホッグとアンチ磁気ヘッジホッグの磁化配列(赤矢印と青矢印)と創発磁場の分布(緑矢印)。磁気ヘッジホッグでは磁場が中心から湧き出しており、アンチ磁気ヘッジホッグでは磁場が中心に吸い込まれている。(c) ヘッジホッグとアンチヘッジホッグを繋ぐ磁気渦糸(ディラック弦A)の構造。(d),(e) 磁気ヘッジホッグ格子におけるヘッジホッグとアンチヘッジホッグの空間配置。マゼンタの点とシアンの点がそれぞれヘッジホッグとアンチヘッジホッグを表している。また、それを繋ぐ線はディラック弦を表す。磁化の巻き方に応じて2種類のディラック弦(赤線:ディラック弦A, 青線:ディラック弦B)がある。ゼロ磁場および低磁場の磁気ヘッジホッグ格子ではディラック弦AとB両方が存在するが(d)、磁場を印加するとディラック弦Bが消滅し、ディラック弦Aのみが存在する磁気ヘッジホッグ格子が現れる(e)。


(2)今回の新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと、新しく開発した手法

そこで本研究では、磁気ヘッジホッグ格子に光を照射したときに期待される集団運動の性質を、微視的な理論モデルを用いた数値シミュレーションにより調べました。


ところで、磁気ヘッジホッグ格子では、磁気ヘッジホッグとアンチ磁気ヘッジホッグはディラック弦と呼ばれる渦糸状の磁化配列で繋がっています[図2(c)]。この図にあるように、磁気ヘッジホッグの真下にある正方格子上の4つの磁気モーメントはらせんを描くように下に降りていきアンチ磁気ヘッジホッグへとつながっていきます。このような磁化配列の渦糸構造と表現しますが、らせんには右巻と左巻があるため、ディラック弦にも右巻と左巻の2種類があることになります。一つの物質中に必ずしも2種類のディラック弦が現れるとは限りませんが、本研究で取り扱ったMnSi1-xGexやSrFeO3などの物質で実現している磁気ヘッジホッグ格子[図2(d), (e)]では、磁気渦糸の巻き方が異なる2種類のディラック弦(AとB)が存在するため、多彩な電磁応答が期待できます。

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