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湧水に浸すと発電できる「湧水温度差発電」

共同通信PRワイヤー / 2024年6月10日 14時0分

湧水に浸すと発電できる「湧水温度差発電」

流れ去る湧水の熱エネルギーを電気として有効利用


ポイント

・ 湧水と大気の自然な温度差から発電できる技術を考案

・ 電池なしで湧水の温度を計測し、無線通信で自動的なデータ収集に成功

・ 地域資源である湧水の保全と持続可能な利用に貢献


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406061829-O1-uhyaoDDb


概 要 

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)物理計測標準研究部門 応用電気標準研究グループ 天谷康孝 研究グループ付、地圏資源環境研究部門 地下水研究グループ 井川怜欧 上級主任研究員、国立大学法人 茨城大学 大学院理工学研究科 一ノ瀬彩 助教は共同で、湧水と大気の温度差を利用した「湧水温度差発電」が可能なことを実証しました。発電した電力を用いることで電池なしで湧水の温度を計測し、無線通信で自動的にデータ収集することに成功しました。この技術は、固体の熱と電気の相互変換作用である熱電発電を利用するので、水車のような可動部を必要とせず、水の流れがない水路でも発電が可能となります。また、太陽光が届かない日陰や、夜間も連続的に発電することができます。この技術を用いれば、メンテナンスのコストを抑えた連続的な環境計測も可能となり、人為的な活動などによる湧水の変化を早期に発見することができます。このように、湧水の持つ熱エネルギーを電力として活用する多面的価値を創出することで、地域資源である湧水の保全と持続可能な利用に対する貢献が期待されます。


なお、この技術の詳細は、Elsevier出版の学術誌「Energy Conversion and Management」に2024年6月2日付で掲載されました。


下線部は【用語解説】参照


開発の社会的背景

地下水が地表へと湧き出した湧水は、地域のくらしや文化、水神社などの土着信仰を支える貴重な存在です。地下水が豊富なことで知られる松本盆地の中心部に位置する長野県松本市は、まつもと城下町湧水群に代表される豊富な地下水を有し、これらは井戸や水路などを通じて地域の文化や生活に彩りを与え、現在でも貴重な観光資源となっています。一方で、水道の普及による井戸の減少や道路拡張による水路の暗渠(地下通水路)化で、このような水辺環境は失われつつあります。しかし、近年、提唱されるようになったTNFDやネイチャーポジティブの観点から、官民一体となった地域の自然資源(生物多様性、大気、水、土壌、鉱物)の保全や持続的な利活用に注目が集まっています。松本市の湧水についても、新たな利用価値を創出することができれば、地域の貴重な資源として、これまで以上に地域の発展に貢献することが期待されます。

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