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希少疾患のDNA損傷変異が、より一般的な疾患にも関与する可能性を発見

共同通信PRワイヤー / 2024年6月10日 14時30分


 また本研究グループは、RVCL変異を持つ細胞が、相同組換え修復に欠陥のあるBRCA1/2(注7)変異がん細胞に選択的に作用する、PARP阻害薬(注8)という抗がん剤に感受性が高くなっていること発見しました。PARP阻害薬は、BRCA1/2遺伝子に変異を持つ乳がん患者さんの治療に用いられています。


 これらの特徴が、BRCA1/2変異乳がん細胞と驚くほど類似していたことから、本研究グループは、RVCL患者さんの乳がん発症率について解析を行いました。ペンシルバニア大学で収集されたRVCL女性患者さん16人の乳がん発症率に関するデータを、アメリカ合衆国における大規模乳がん女性患者データ(97,900人)と比較解析した結果、RVCL患者さんでは若年性乳がんのリスクが高いことが明らかになり、RVCL女性患者さんでは、50歳未満で乳がんを発症するリスクが、一般集団と比べて約9倍であることが示されました。これは、RVCL変異TREX1がDNA修復機能を阻害し、DNA損傷の蓄積によって乳がんのリスクを増加させている可能性を示唆しています(図1)。さらに、TREX1変異がDNA修復に及ぼす影響により、化学療法による損傷を受けやすくなることも判明しました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406101964-O1-966u18vd


 この研究により、TREX1の量と局在の異常が、RVCLと乳がんの病態メカニズムに重要な役割を果たしていることが明らかになりました。また、TREX1の発現が炎症性刺激(注9)によって誘導されたことから、DNA損傷と炎症が相互に影響し合い、悪循環を形成している可能性が示唆されました。今後は、TREX1の量や局在を調節する因子の同定や、TREX1の核内への異常な局在を抑制する方法の開発が重要になると考えられます。また、DNA損傷と炎症の悪循環を断ち切る方法の開発も重要です。TREX1の機能を調節する化合物や、遺伝子のDNA損傷作用をブロックする化合物の開発が、RVCLの予防や治療に役立つ可能性があります。TREX1レベルは、RVCLを発症していない健康な人であっても、全てのヒトの複数の組織において、加齢とともに増加します。従って、この研究結果は、RVCLにとどまらず、老化のDNA損傷理論にも影響を与える可能性があり、加齢依存的なTREX1増加に関連するプロセスを理解することも重要であると考えられます。

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