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酸化反応によって溶けた後、ひとりでにもう一度固まる不思議なゼリー状物質を発見!

共同通信PRワイヤー / 2024年6月21日 10時0分


 

【研究成果】

 天然アミノ酸の1つであるシステインを原料として、化学合成することで得られるアミノ酸誘導体型分子 (以下、Fmoc-CBzlと呼ぶ 図2A) が水中で自己集合し、ナノファイバーネットワークからなるヒドロゲルを形成することを見つけました。さらに得られたヒドロゲルの性質を調べたところ、過酸化水素 (H2O2) の添加に伴う酸化反応によって溶けて水溶液状態になることを見出しました。ここまでの実験結果は、予想の範囲内でしたが、しばらく様子を観察し続けると、再びヒドロゲル状態に戻るという予想外の不思議な現象を偶然、発見しました (図2B) 。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406212497-O7-3RWHCbKS

図2 ヒドロゲルの性質 (A) Fmoc-CBzlの化学構造、ガラス瓶内に調製したFmoc-CBzlヒドロゲルの写真 (ゼリー状であるため、ガラス瓶を横に倒しても流れていない)、Fmoc-CBzlが水溶液中で自己集合することで形成するナノファイバーネットワークの顕微鏡画像 (B) 過酸化水素 (H2O2) の添加に伴う酸化反応による応答挙動 (ゲル → ゾル → ゲル 相転移挙動)


 そこで、この現象を様々な分析手法で詳しく調べたところ、Fmoc-CBzlのスルフィド部位が、酸化反応によってスルホキシド部位に変換されていること、および生成したスルホキシド部位のキラリティに由来する2種類の異性体 (Fmoc-CBzl-(R)-O, Fmoc-CBzl-(S)-O, 図3A) の間で自己集合能が異なることを見出しました。この種の異性体 (ジアステレオマー(注3)) が異なる自己集合能を示すことは理論的に説明できますが、スルホキシド部位の立体異性 (硫黄原子 (S) に酸素原子 (O) が結合している向きが異なるだけの違い) に起因する現象として実験的に示された例はそれほど多くありません。より具体的には、Fmoc-CBzl-(R)-Oは、原料であるFmoc-CBzlと同様にナノファイバーネットワークを形成しますが、もう片方の異性体であるFmoc-CBzl-(S)-Oは、ナノファイバーではなく、ネットワーク化しないナノ粒子を形成することを、それぞれを分離精製して、明らかにしました (図3A)。さらに、ナノファイバーを形成するFmoc-CBzl-(R)-OおよびFmoc-CBzlの自己集合様式は、X線結晶構造解析によって原子レベルで解明しました。

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