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高強度レーヨンに迫る強度と伸度を両立した低環境負荷カーボンナノチューブ複合セルロース繊維を開発

共同通信PRワイヤー / 2024年6月25日 14時0分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406212531-O2-zFdNWQK1


一般に補強材を加えると材料の強度と弾性率が向上しますが、伸度やタフネスが低下します。一方、可塑剤は材料を柔らかくし伸度とタフネスを増加させますが、強度と弾性率が低下してしまいます。このように材料に別の成分を添加して材料の機械特性を改良する場合、強度とタフネスは相反することが知られています。本研究で用いたカーボンナノチューブはセルロースよりも高い強度を持つため、セルロースに添加すると得られる複合材の高強度化が期待できます。本研究で製造したカーボンナノチューブ複合セルロース繊維は強度を保ったまま伸度とタフネスが向上しました。繊維の構造解析の結果、カーボンナノチューブ束の直径をセルロース繊維の中間階層構造と同程度(約10~100 nm)にして糸中に均一に分布させることで補強効果を発現させることに成功しました(図2abc)。これまでさまざまな補強材や機能付与剤を添加したセルロース繊維が研究されてきましたが、機械特性は主に強度と弾性率が注目され、今回のような補強材添加による補強効果の報告例はほとんどありません。各種カーボンナノチューブ(0.1~50質量%)やシリカ等の他の補強材(1~50質量%)を添加したセルロース繊維の報告例と比べた中では、本研究の繊維が最も高い強度を示しました。


タイヤコードの開発での本研究の意義が分かるよう、図2dに補強材は未添加のセルロース繊維(研究開発品および市販品)の伸度と強度の関係を示します。イオン液体溶剤法では1000 MPaを超える高い強度が得られますが伸びにくく、タイヤコードとしての伸度が足りません。一方、衣料などに使われる市販品は強度が低く伸びやすい特徴があり、タイヤコードとして使用するには強度が足りません。本研究のカーボンナノチューブ複合セルロース繊維は、タイヤコードとして使用されている高強度レーヨンに匹敵する強度と伸度を兼ね備えています。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406212531-O3-VanZa2Bf


概要図は本研究の繊維構造モデルをカーボンナノチューブとセルロースの構造解析を基に描かれています。この図が示すように糸断面中でカーボンナノチューブ束の直径をセルロース繊維の中間階層構造であるミクロフィブリルと同程度(~100 nm)に調節すると補強効果が発現しました。繊維の伸度が向上したのは、セルロース繊維質の構造で提案されているミクロフィブリル間で生じる水素結合の切断と再結合による滑りと共に、カーボンナノチューブとミクロフィブリルの疎水性表面どうしの滑りが生じたためと推定しています。

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