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絶縁体ポリオキソメタレートの半導体化に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年8月8日 14時0分

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408074712-O5-0Zy4wZF3】 図1 . 基板上で、POMが白金多核錯体で繋がれ、電気が流れていることを表している図.


研究背景

 POMは高原子価の金属イオンが酸素原子で連結した球形の多核金属錯体であり、固体酸化物を切り出した分子で、金属種、核数、内包イオンを変えて、様々な種類が報告されています(図2)。POMは、オレフィン水和反応における酸触媒、メタクリル酸合成の酸化触媒として工業利用され、水の酸化触媒の多電子移動反応の有望な候補となっています。最近では、集積体内の空孔を利用した触媒、吸着、プロトン伝導の機能性も見出されていますが、POMの骨格自体を伝導体として検討しているものは、ほとんど無く、電子ドナー性の強いテトラチアフルバレンとの集積体、1例のみです。例が少ない理由は、POM自身がバルク固体では絶縁体であり、POM同士の電子的な相互作用が弱く、固体中で孤立した分子として振る舞うためです。


研究成果

 そのような中、本研究グループは 、POMを 一次元状の白金多核錯体と混合すると、両者が繰り返し並んだ集積体が得られ、電気が流れるパスが形成されることを見出しました。POMに、Keggin型の{PMo12}3–を選び、白金四核錯体の{Pt4}4+を混合すると、–{PMo12}–{Pt4}–と繰り返し並んだ一次元集積体が得られました(図3)。{PMo12}中の架橋酸素p軌道と、{Pt4}中の白金dz2軌道は、3.42 Åの距離で近接し、–{PMo(+5.83)12}–{Pt(+2.25)4}–の混合原子価状態となり、各測定から、 不対電子が一次元集積体全体にわたって非局在化していることがわかりました。また、ペレット二端子法で測定した常温の導電率は 1.0×10−8 S/cmで、活性化エネルギー0.60 eVの半導体的に電気が流れることを明らかにしました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408074712-O6-Sjn9p46G】 図2. 絶縁体のPOMを白金多核錯体で繋ぎ、半導体にする模式図.


 また、興味深いことに、この集積化法には汎用性があり、負電荷をもち還元しやすいPOMと正電荷をもち酸化しやすい一次元状の白金多核錯体は、相性よく会合し、互いに酸化還元し、混合原子価状態となり集積化することがわかりました。Keggin型の{PMo12}3–と白金-パラジウム三核錯体の{Pt2Pd}2+を混合すると–{PMo(+6)12}–{Pt2Pd(+2.33)}–となり、Dawson型の{P2Mo18}6–と白金四核錯体の{Pt4}4+を混合すると–{P2Mo(+6)18}–{Pt(+2.25)4}–となり(図3)、常温の導電率は7.0×10−8 S/cm、3.0×10−7 S/cmと、より電気が流れやすくなることも明らかにしています。さらに、光学バンドギャップは0.6~1.2 eVと近赤外光を強く吸収することもわかりました。

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