アルカリ性の水に溶けたCO2をエネルギー物質に転換 ー炭素循環を実現する炭酸ガス回収・利用技術として期待ー
共同通信PRワイヤー / 2024年9月2日 14時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408295590-O2-0t90DYfi】
図2 電流密度100 mA cm−2におけるギ酸生成のファラデー効率と駆動電圧(既報との比較)
さらに高電流密度での反応を検討したところ、300 mA cm−2においてもギ酸生成のファラデー効率は85%を維持し、250 mA cm−2を超える部分電流密度で高速にギ酸イオンを合成できることがわかりました(図3)。高電流密度における高いファラデー効率は、KHCO3水溶液からのギ酸合成における既報を凌駕するものであり、本手法の革新性が示されました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408295590-O1-W9aYtV4I】
図3 電流密度300 mA cm−2におけるギ酸生成のファラデー効率(既報との比較)
また、本電解装置におけるCO2の利用効率は89%と高く、反応装置の内部で発生したCO2のほとんどはギ酸へと変化しています。このCO2利用効率は、既往のガス供給型電解装置の値(通常は10%以下)を大きく上回ります。また、少なくとも30時間以上の長期にわたって安定してギ酸イオンを合成することが可能でした。未反応の炭酸水素イオンは、繰り返しの反応に用いることが可能であり、炭酸水素イオンの消費に伴って単調にギ酸イオンの濃度が上昇していくことがわかりました。CO2ガスを通気させた3.0 mol L−1のKHCO3水溶液を40時間にわたって電解したところ、ほぼ全ての炭酸水素イオンをギ酸イオン水溶液に変換することに成功しました。ここから水分を取り除くことによって、KHCO3を含まないギ酸カリウム(HCOOK)の結晶を得ることができます(図4)。ギ酸塩の結晶は、固体のエネルギー物質として、大容量かつ長期のエネルギー貯蔵及び長距離のエネルギー輸送に利用できると期待されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408295590-O4-076CCn4i】
図4 KHCO3水溶液を原料として電解合成したHCOOKの結晶
5.研究の意義と波及効果
本成果は、再生可能エネルギー由来の電力を用いて大気中のCO2をエネルギー物質へと変換するRCC技術として、温室効果ガスの削減を目指すネガティブエミッションの達成に貢献します。また、合成されたギ酸塩はエネルギー物質として直接形燃料電池や水素キャリアに活用できるため、GXによる脱炭素社会の実現に繋がると期待されます。革新的なCO2資源化技術としてのさらなる高性能化を目指すとともに、産学連携での共同研究に取り組むことで段階的に研究開発の規模を拡大し、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた実用化を目指します。
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