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ハイエントロピー化合物におけるイオン拡散の解明 〜高融点と高イオン透過率を持つ新奇材料開発に期待〜

共同通信PRワイヤー / 2024年9月2日 14時0分

ハイエントロピー化合物におけるイオン拡散の解明  〜高融点と高イオン透過率を持つ新奇材料開発に期待〜

図4

1.概要

 東京都立大学大学院理学研究科物理学専攻の石川陸矢氏(博士後期課程)、栗田玲教授、水口佳一准教授、鳥取大学大学院工学研究科の高江恭平准教授の研究グループは、超伝導体や熱電材料として注目されているハイエントロピー型金属テルライド(注1)のイオン拡散メカニズムを解明しました。ハイエントロピー化合物では、原子サイトに異なる元素が多数固溶するため、局所的に運動性が異なることが予想されますが、イオンの拡散メカニズムについては、よくわかっていませんでした。同グループは、分子動力学シミュレーションから、電荷が小さく、サイズも小さいカチオン(注2)がフレンケル欠陥(注3)を形成し、さらにフレンケル欠陥の形成に伴って、他のカチオンも協同的に拡散することを明らかにしました。本研究成果は、ハイエントロピー型金属テルライドの高融点、高強度、高イオン透過率を持つ新奇材料開発を促進し、電池のセパレータの開発に有用な指針を与えるものです。


■本研究成果は、8月28日付けでElsevier社が発行する英文誌Journal of Alloys and Compoundsに発表されました。本研究の一部は、JST SPRING(JPMJSP2156)、JSPS Research Fellow (24KJ1854)、科研費(20H05619、21H00151、20H01874)の支援を受けて行われました。


2.ポイント

1.    新奇材料候補のハイエントロピー型金属テルライドにおいて、イオン拡散メカニズムは未解明でした。

2.    電荷が小さくイオン半径も小さいカチオンが、より多くのフレンケル欠陥を形成することがわかりました。

3.    フレンケル欠陥形成時に、大きなサイズと電荷を持つカチオンも協同的に拡散することがわかりました。

4.    高融点、高強度、高イオン透過率を持つ新奇材料開発が期待されます。


3.研究の背景

 多成分系結晶(ハイエントロピー結晶)は、多様な構成原子間相互作用により多彩な機能を持つ材料として注目が集まっています。例えば、典型的なハイエントロピー結晶である CrMnFeCoNi (Cantor合金)は、金属系材料の中でも最高水準の破壊靱性を持ちます。他にも、高温構造材料やインプラント、核融合材料、触媒への応用を目指したハイエントロピー結晶が開発されています。このように、多元素を固溶することで新たな機能を持たせ、材料開発へつなげる試みが盛んに行われています。

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