1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

新規でクリーンなアンモニア分解による水素製造手法を発見

共同通信PRワイヤー / 2024年9月12日 14時0分


 


 (2) 今回の研究成果について


 アンモニア分解反応の低温化を目指し、本研究グループでは水素を取り出す様々な反応を低温で促進する電場触媒反応を応用しました。電場触媒反応は、図1のように電極を上下から直接触媒層に触れさせ、電流を流すことで反応を促進させるプロセスです。触媒には半導体性を示す酸化セリウム(CeO₂)上に、貴金属のルテニウム(Ru)や卑金属である鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)といった金属を乗せた触媒を用いました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409116252-O4-4z7wA5u5


図1:電場触媒反応


 図2に示すように、電流を流した電場アンモニア分解反応では、125 ℃という従来では反応がほぼ進行しない低温域で、約100%のアンモニア分解率を達成しました。また、図3のように、高価なルテニウムを使用した場合だけでなく、鉄やニッケルといった安価な金属を使用した場合にも低温で反応が大幅に促進されることが明らかになりました。


 


 


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202409116252-O8-5E17QobW


 


 さらに、電場アンモニア分解反応では、従来とは異なり100-200 ℃の温度域で低温ほど反応速度が上がる特異的な現象が確認されました。この結果から、低温ほど有利である吸着現象が関与した新しい反応メカニズムが生じていると考えられ、メカニズム解明のための様々な実験が行われました。その結果、従来の反応メカニズムで律速段階※3である触媒表面からの窒素の脱離が促進されたことが明らかになりました。


  図4に従来の反応と電場反応のメカニズムを示します。従来の反応メカニズムではアンモニア(NH₃)からまず水素(H)が脱離していき、窒素(N)が触媒表面に残ります。その後、窒素(N)同士で結合し窒素分子(N₂)が生成しますが、この過程が進行に最もエネルギーを必要とし、アンモニア分解反応に高温が必要な要因でした。対して、触媒に電流を流すと触媒表面では水素イオンが豊富な状態となり、窒素と水素一つずつからなるNHの存在量が増加すると考えられます。そしてN同士よりも結合しやすい、NH同士での結合によりN₂H₂という中間の物質が生成し、この物質から水素が脱離することでアンモニア分解反応が完了する反応メカニズムが推測されました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください