基本ブロックをあらかじめ配列し、つなぐことでゼオライトを合成
共同通信PRワイヤー / 2024年10月3日 22時0分
研究の経緯
産総研はこれまでに、シリカ(SiO2)の基本単位であるオルトケイ酸(Si(OH)4)をはじめ、その2量体、環状3量体、環状4量体、オルトケイ酸のかご型8量体(Q8H8)、かご型12量体(Q12H12)を合成・単離する技術を開発しています(2017年7月27日 産総研プレス発表)。さらに最近、Q8H8の8個の頂点に放射状に存在するヒドロキシ基に着目し、水素結合させることで、Q8H8が1次元、2次元および3次元状にネットワークを構築した「水素結合性無機構造体(Hydrogen-bonded Inorganic Framework: HIF)」を開発しています(2021年12月10日 産総研プレス発表)。今回、このHIF結晶の結晶性を維持させたまま脱水縮合させることが可能なプロセスを開発することにより、水素結合をシロキサン結合へ変換することで図1に示すような基本構造を配列させたゼオライトの合成手法の開発に至りました。
なお、本研究開発は、「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発」(2014~2021 年度、JPNP14003)、「NEDOプロジェクトを核とした人材育成、産学連携等の総合的展開/有機ケイ素先端材料開発技術者養成に係る特別講座」(2022~2024 年度、JPNP06046)、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 さきがけ「原子・分子の自在配列と特性・機能」(2022~2025 年度、JPMJPR22A1)による支援を受けています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410027481-O2-9m91NF84】
研究の内容
HIF結晶の結晶性を維持して脱水縮合を達成できれば、従来よりも合理的なゼオライト合成法を開発できると着想しました。Q12H12からなるHIF結晶の結晶性を維持させながら脱水縮合可能なプロセスを見出し、新規なゼオライト合成手法の開発に成功しました。合成したゼオライトは新規骨格を形成しておりUPZ-1(Unit-Preorganized Zeolite)と命名しました。
今回の新規ゼオライト合成法は酸性条件による脱水縮合ののち、高温加熱を行うことで達成されました。図1に示したHIF結晶に対して、前段の反応では酢酸を溶媒とし、反応の促進剤としてアミンまたはアンモニウム塩を触媒量加え、140℃で加熱することで部分的な脱水縮合を促進させ、中間体を得ました。この中間体をさらに750℃で加熱することで脱水縮合が完全に進行し、新規ゼオライト(UPZ-1)を合成しました(図2)。
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