タンパク質の糖鎖修飾を「見える化」するソフトウエア「GRable Version 1.0」
共同通信PRワイヤー / 2024年10月4日 14時0分
研究の経緯
産総研では、レクチンを用いた簡便・高感度な糖鎖プロファイリング技術および質量分析を用いた詳細構造解析技術の開発に取り組み、それらを組み合わせたマルチモーダル糖鎖解析プラットフォームを構築してきました(参考文献1)。糖タンパク質を治療標的とする場合には、抗体などの標的プローブの作製にあたり、どの位置にどのような糖鎖が付加しているか(部位特異的グライコフォーム)を知ることが重要です。しかし、糖鎖の構造の多様性および複雑性から、詳細構造解析は非常に難易度が高く、網羅性と精度を兼ね備えた解析法が求められています。この課題を解決するため、産総研では、独自の部位特異的グライコフォーム解析法としてGlyco-RIDGE法を開発してきました(参考文献2、図1)。本研究では、糖鎖解析プラットフォームの要素技術として、質量分析によるグライコプロテオーム解析を加速するためのソフトウエア「GRable」を開発しました。なお、本研究開発は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構の次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業 「糖鎖利用による革新的創薬技術開発事業(2016~2020年度)」による支援を受け実施しました。
研究の内容
現在主流のMS2ベースの解析法とは異なり、Glyco-RIDGE法はMS1ベースの解析法であるという特徴を有しています。液体クロマトグラフィーにおける溶出プロファイルおよびMS1質量の差分に基づき、糖ペプチドをクラスターとして検出することで、断片化が必要なMS2ベースの解析法よりも微量の糖ペプチドを検出できます(図1A、B)。MS2ベースの解析法では、糖ペプチド由来のフラグメントイオンによりペプチド配列を同定しますが、Glyco-RIDGE法では、MS2ベースの解析法で取得したペプチド配列のリストを用いることで、クラスターとして検出された糖ペプチドのペプチド配列を推定します(図1C)。本手法では、断片化を行わず糖ペプチドを検出するため、MS2による方法よりも網羅性を高められます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410027503-O2-OD9rKYJS】
本研究では、糖鎖解析プラットフォームの要素技術として、質量分析によるグライコプロテオーム解析を加速するため、Glyco-RIDGE法に基づくグライコプロテオーム解析を自動化するソフトウエア「GRable」を開発しました。GRableでは、ビューワーにて検出した糖ペプチドクラスターを可視化することで、サンプル中の糖ペプチドの多様性を視覚的に把握できる工夫をしています(図2)。
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