タンパク質の糖鎖修飾を「見える化」するソフトウエア「GRable Version 1.0」
共同通信PRワイヤー / 2024年10月4日 14時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410027503-O3-f9Q4I6g3】
モデル試料を用いた質量分析データの解析に本ソフトウエアを活用することで、本ソフトウエアが特定糖タンパク質の詳細構造解析および複数の糖タンパク質が混合された試料(クルード試料)の大規模解析に利用できることを示しました。特に、一残基のみ異なるペプチドを有するアイソフォームの部位特異的グライコフォームも個別に検出できることを実証しました(図3)。
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MS1ベースの解析法の課題として、断片化を行わず糖ペプチドを検出するため、信頼性の指標である偽発見率(false discovery rate)が算出できないという問題がありました。そこでGRableでは、帰属された各糖ペプチドに対し、糖ペプチド由来のフラグメントイオンなどのMS2情報を付与する機能を搭載することで、解析結果の確からしさ(信頼レベル)を可視化できるようにしました(図1C)。
また、同一の特定糖タンパク質の質量分析データを用いて、市販のMS2ベースの解析ソフトウエアと比較評価したところ、GRableでは、約4倍の部位特異的グライコフォームが推定され、GRableを用いることで網羅性の高い解析が実現できることを実証しました。
以上より、本研究では、既存のMS2ベースの解析法では検出できなかった微量の糖ペプチドをも検出できるMS1ベースのGlyco-RIDGE法を解析自動化するソフトウエアを開発することで、より網羅的な部位特異的グライコフォーム解析を実現しました。
今後の予定
本ソフトウエアは、創薬シーズの探索に活用することで糖鎖創薬の開発を加速すると期待できます。また、遺伝子治療のためのウイルスベクターの糖鎖解析への使用実績もあり(参考文献3)、抗体だけでなく新しいモダリティーのバイオ医薬品の品質管理への活用も期待できます。今後、産総研では、それぞれの利点を有するMS1ベースの解析法(Glyco-RIDGE法)と従来のMS2ベースの解析法をより効果的に統合し、網羅性と信頼性を改善した解析法とそのソフトウエアの開発を進めます。また、グライコプロテオーム解析の高度化に加え、マルチモーダル糖鎖解析プラットフォームをより強固にするための要素技術として、新たな糖鎖解析技術の開発にも取り組みます。名古屋大学糖鎖生命コア研究所では、ヒューマングライコームプロジェクト(参考文献4)において本技術も活用していくことで、ヒトの身体に存在する糖鎖の正確な構造を網羅的に明らかにします。
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