河川合流周辺の農地は高い水害抑制機能を持つ -防災と生物多様性保全の両立に貢献-
共同通信PRワイヤー / 2024年11月19日 14時0分
図2
1.概要
気候変動の影響等によって甚大化する水災害に対応するために、農地や都市緑地をはじめとする生態系を活用した防災・減災(Ecosystem based Disaster Risk Reduction :Eco-DRR)という考え方が注目されています。Eco-DRRは、防災・減災機能にとどまらず、生物多様性の保全をはじめ、人間社会に様々な利益をもたらすことも期待されています。
東京都立大学大学院 都市環境科学研究科の大澤剛士准教授は、日本全国の市区町村を対象に分析を行った結果、河川合流の周辺に存在する農地が洪水の発生抑制に大きく貢献している可能性を示しました。河川合流の周辺は良好な自然環境が維持されていることが多いことも知られており、この場所に存在する農地を積極的に保全することで、高い防災効果と生物多様性の保全が両立できる可能性があります。この結果は、水害に強く、人間の居住域と良好な自然環境が両立できる土地利用を考える上で重要な指針になると期待できます。
本研究成果は、11月18日付けで、ELSEVIERが発行する英文誌『Environmental and Sustainability Indicators』に発表されました。本研究は、環境研究総合推進費2G-2201「適応の効果と限界を考慮した地域別気候変動適応策立案支援システムの開発」および水源地生態研究会の助成を受けて実施されたものです。
2.ポイント
■ Eco-DRRは、水災害への対策と環境保全の両立を実現するためのアイディアです。
■ 農地は食料生産の場であると同時に副次的に防災機能を持つことが知られていますが、その機能には場所依存性があり、高い機能を持つ場所を簡単に見つける方法が求められていました。
■ 日本全国を対象に分析を行った結果、河川合流の周辺に立地する農地は高い防災効果を持つ可能性が示されました。
■ 本研究の結果は、合流の周辺という立地条件が、高い防災効果を持つ農地を見出す指標として活用できることを示唆します。
3.研究の背景
気候変動の影響もあり、台風や豪雨、それに伴う洪水や土砂災害といった大規模な自然災害が世界的に増加しています。これら増大、甚大化する自然災害に対し、ダムや堤防等の人工工作物のみでは対応しきれないことが指摘されています。この状況に対し、農地や都市緑地をはじめとする既存の生態系を活用した防災・減災(Ecosystem based Disaster Risk Reduction :Eco-DRR)という考え方が注目されています。Eco-DRRは、防災・減災機能にとどまらず、生物多様性の保全をはじめ、人間社会に様々な利益をもたらすことも期待されています。
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