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河川合流周辺の農地は高い水害抑制機能を持つ -防災と生物多様性保全の両立に貢献-

共同通信PRワイヤー / 2024年11月19日 14時0分


 次に、国土交通省が公開している河川ラインのGIS(注4データを利用し、全国の河川における合流点を抽出しました(図2)。洪水が発生しやすいと考えられる合流の周辺1kmに立地する農地の総量を市区町村ごとで集計し、これと水害発生頻度の関係を統計モデルによって検討したところ、上記同様、合流周辺に水が溜まりやすい農地を多く持つ市区町村では洪水の発生頻度が低いという結果が得られました。そしてこの効果は、水が溜まりやすい農地全体を用いた場合よりも強いことが示されました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411180150-O1-yUL64R4T

5.研究の意義と波及効果 

 河川の合流は自然河川であれば必ず存在する地形で、全国どこにでも存在しています(図1b)。この周辺に存在する農地を優先的に保全することで、食料生産と防災の両立が図れることが期待できます。この結果は、国レベルはもちろん、基礎自治体における土地利用計画においても有用な指針になると考えられます。これに加え、河川合流の周辺は、洪水を好む生物にとって良好な生息場が形成されやすいことも明らかになっています(注2。すなわち、合流周辺の農地を保持することは、食料生産、防災効果に加え、地域の生物多様性を保全することにも貢献する可能性があります。河川合流の周辺に存在する農地を賢く活用することは、水害に強い土地利用と同時に、ネイチャーポジティブの実現にも貢献すると期待できます。


 

注釈

注1)  Osawa T (2022) Evaluating the effectiveness of basin management using agricultural land for ecosystem-based disaster risk reduction. International Journal of Disaster Risk Reduction 103445. (日本語訳:農地を活用した流域における防災効果の有効性評価)


注2)  大澤 剛士, 瀧 健太郎, 三橋 弘宗(2022)河川合流の特性を活かした防災・減災(Eco-DRR)の可能性:那珂川周辺に存在する水田の利活用アイディア.  保全生態学研究 27: 31-41


注3)  既往研究により、累積流量(Flow Accumulation)地形パラメータを利用することで地形的に水を溜めやすい場所が推定できることが明らかになっており、本研究でもこの値を使っている。

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