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食べなくてもマーガリンの食感がわかる!

共同通信PRワイヤー / 2024年11月26日 14時0分


研究の内容

マーガリンは、植物油脂の中に水滴が分散する微細構造であるW/O(water-in-oil)エマルション構造を保つことで固化し、バターのような外観を保っています。マーガリンの保存期間、油脂と水の含有量、乳化剤の種類や割合、製造時の攪拌速度などの製造工程は、マーガリン中の水滴の大きさや数、水滴表面を起点として形成される微細構造(油脂の結晶ネットワーク構造)に影響を及ぼします。これらはマーガリンの粘弾性(舌触り)やオイルオフ(図1)と呼ばれる現象にも大きく関与することが分かっています。しかし、これまでマーガリン中の油脂と水の分布と分子情報を直接イメージングする手段がありませんでした。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411220443-O2-7367KjM0


そこで本研究では、マーガリンに存在するW/Oエマルションの微視的形態を直接観察するための強力なツールとしてラマンイメージング技術を用いました。研究チームは、大阪大学が開発した高速ラマン顕微鏡を用いて、マーガリン中の油/水の微細構造の分子信号(ラマン散乱信号)を2次元画像(ラマンイメージング)として取得し、基本的な機械学習アルゴリズムであるk平均法(k-means clustering)を用いることで、水分子、脂質分子、水酸基の分布の分析を試みました。


図2は、油脂を構成する分子のラマン信号を「黄色」、水分子のラマン信号を「青色」で表示したマーガリン表面のラマンイメージングの結果を示しています。すべてのマーガリンは、水/油脂が同じ比率で混合され、添加剤である乳化剤の種類や攪拌速度を変えて製造されました。また、製造後の保管期間が異なるマーガリンを用意しました。ラマンイメージングの結果は予想通り、新しいマーガリンと比べて、古いマーガリンでは油脂中の水滴のサイズと信号強度が小さくなる傾向があることが分かります(図2 AとB、CとDの比較)。これは古いマーガリンの水分が蒸発した結果を検出していると考えられます。乳化剤である不飽和モノグリセリドのみを加えた場合と比較して、飽和モノグリセリドも加えたマーガリンは滑らかな口どけの良い食感になることが知られていますが、ラマンイメージングの結果は、飽和モノグリセリドを加えることで水滴のサイズが大きくなり油脂相にも水分子が分散していることを示しています(図2:BとDの比較)。製造工程における乳化プロセスにおいて、攪拌速度が遅くなるとオイルオフ(図1)と呼ばれる現象が起こりやすくなることが知られていますが、ラマンイメージングの結果は、油脂相に十分に水分子が分散できていないことを示しています(図2 DとEの比較)。

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