食べなくてもマーガリンの食感がわかる!
共同通信PRワイヤー / 2024年11月26日 14時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411220443-O3-1Nrd13Ub】
次に、より詳しく水分子の分布を解析するため、水分子のラマン信号を「水素結合をもつ水分子」と「水素結合を持たない水分子」に区別して解析を行いました(図3)。その結果、乳化剤として不飽和モノグリセリドのみを加えたマーガリンは、飽和モノグリセリドも加えたマーガリンと比較して、油脂相に多くの水素結合が存在することが分かりました(図3 Aの上と中央、図3Bの左と中央の比較)。これは油脂相の過剰な水素結合の形成が、マーガリンを硬くし、オイルオフは引き起こされにくい一方で、滑らかな食感が失われる可能性を示しています。製造工程における乳化プロセスにおいて、攪拌速度を遅くしたケースでは、油脂相の水素結合が低下していることが分かりました(図3 Aの中央と下、図3Bの中央と右の比較)。これは、充分な攪拌が行われないと油脂相の水素結合が不十分で油脂の結晶ネットワーク構造が破壊された結果、水分子を油脂相に保持できなくなり、オイルオフが引き起こされる可能性を示しています。また、油脂相の水素結合量がオイルオフと正の相関関係をもつことが明らかとなりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411220443-O4-H532kA6A】
以上の結果は、ラマンイメージングがW/Oエマルションの微視的形態を観察するための強力なアプリケーションとなり、マーガリンの保存期間、乳化剤の種類や割合、異なる製造工程がマーガリンの微細構造やオイルオフにどのような影響を与えるかについて、ラマン信号に基づいた定量的な解釈を与えられることを示しています。
今後の予定
今後は、本解析手法を、マーガリンだけではなく、一般に液体成分が多く含まれる食品の検査や品質管理技術として展開することを考えています。
論文情報
掲載誌:Food Chemistry
論文タイトル:Microscopic Water Dispersion and Hydrogen-Bonding Structures in Margarine Spreads with Raman Hyperspectral Imaging and Machine Learning
著者:J. Nicholas Taylor, Kazuki Bando, Shiori Tsukagoshi, Leo Tanaka, Katsumasa Fujita, Satoshi Fujita
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