軟骨無形成症に対する新規治療薬の候補を発見!
共同通信PRワイヤー / 2024年12月19日 13時0分
最後に、細胞実験で得られた結果が、動物実験でも再現できるかを検証しました。軟骨無形成症モデルマウスは、著明な長管骨の短縮を示しますが、同マウスにKY-065を投与すると、長管骨の伸長が確認できました。さらにその長管骨を詳細に解析したところ、成長板軟骨層の形態が回復し、肥大化軟骨細胞層の肥大化も観察されました(図2)。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161753-O5-537O4LU0】
図2: KY-065の投与は、軟骨無形成症モデルマウスの長管骨を伸長させ、軟骨の形態も回復させる。
以上の成果より、CDK8阻害剤KY-065は、STATシグナルを減弱させ、軟骨無形成症の軟骨の機能異常を回復させ、長管骨を伸長させることが明らかになりました。すなわち、軟骨細胞のCDK8は軟骨無形成症の治療標的であり、CDK8阻害剤が同疾患の治療薬候補となる可能性が示されました(図3)。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412161753-O6-615U34hN】
図3: CDK8阻害剤KY-065は、STAT1Ser727のリン酸化を抑制し、STATシグナルを減弱させることで、軟骨無形成症の軟骨機能の異常と長管骨の短縮を回復させる。
研究成果の意義・今後の展開
CDK8阻害剤KY-065は経口投与可能であり、軟骨無形成症の患者(特に新生児・乳幼児)への負担を軽減することが可能です。また、既存薬ボソリチドとは異なる作用点を持っており、KY-065とボソリチドとの併用により相加相乗効果が期待できます。
本研究は、CDK8阻害剤が軟骨無形成症に対する新規治療薬の候補となる可能性を示した世界初の報告となります。本研究成果は、軟骨無形成症に限らず、軟骨細胞の機能異常や恒常性維持の破綻によって引き起こされる難治性骨系統疾患(タナトフォリック骨異形成症など)に対する革新的治療法を提供し、アンメット・メディカル・ニーズ(※4)の解消にも貢献することが期待されます。
用語解説
※1 Cyclin-dependent kinase 8(CDK8)
CDKと呼ばれるリン酸化酵素の遺伝子グループの一つ。CDK遺伝子の8番目。近年、がん幹細胞や間葉系幹細胞の幹細胞性を制御することが報告されている。
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