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EY調査、海外赴任者関連の税務対策の遅れが明らかに

共同通信PRワイヤー / 2024年12月19日 16時30分


みなし税:

82%が何らかの形で「みなし税」を給与控除していますが、年間でみなし税の精算を行う割合は3割以下にとどまります。グローバルの観点では、概算で控除するみなし税を年に一度精算すること(Tax Equalization)も広く行われており、導入を検討する日系企業も年々増えています。


夫婦合算申告:

赴任先の国に夫婦合算申告制度がある場合の制度利用の状況は、「現地に任せている」が42%ですが、「基本的に夫婦合算申告としている」は14%、「税務的に有利な場合は夫婦合算申告としている」は7%と、利用方針が決まっている企業も一定数います。赴任者の配偶者が現地就労を望むケースも近年は増えているため、夫婦合算申告制度利用の方針の明確化が必要になると見込まれます。


個人的収入に対する課税:

個人的収入への課税について、規程などに「特に記載はない」とする割合が70%と、大半が明文化していないことが明らかになりました。また実際に個人的収入に課税された場合の税金負担方法については、37%が「全額赴任者が負担」、32%が「ルールを決めていない(個別判断)」との回答ですが、赴任者の収入状況や現地申告の実態を会社が把握できておらず、実情が不明というケースもあるため、実態把握とともにルール作りの検討が望まれます。


出国税(国外転出時課税):

過半数が「ルールを決めていない(個別判断)」、「会社負担でのサポートも行っていない」と回答しましたが、給与以外の収入源を持つ赴任者の増加に伴い今後は対象者(国外転出時に1億円以上の対象資産を所有等している者)が増える可能性もあり、対応について慎重な検討が必要です。


赴任中に支給される退職金の現地所得税:

会社都合退職(定年退職含む)の場合と自己都合退職の場合では、赴任者に現地所得税を負担させる割合がそれぞれ4%、17%と開きがあります。また、現地所得税の発生を回避するために、日本帰任後に退職することを原則としたり、年金での支給を促したりと独自の工夫をするケースもあります。赴任中に退職し、帰任せずに現地で転職するケースも増えていることから、トラブル回避のために赴任中の退職について、アサインメントレター締結等で、会社と赴任者間で事前に合意形成を図ることも重要と思われます。


EY税理士法人 パートナー 藤井 恵(ふじい めぐみ)のコメント:

「今回は『海外赴任者にかかわる税務』について、『出向者コストの負担と日本での税務調査での指摘有無』『赴任国の個人所得税に関する管理体制および赴任国での申告漏れの有無』『海外赴任中の給与・手当以外の所得等についてかかる税金の負担』という観点で調査を実施しました。また、海外赴任中の日本の社会保険料の算定対象としている報酬の範囲についても併せて調査しています。

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