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EY調査、海外赴任者関連の税務対策の遅れが明らかに

共同通信PRワイヤー / 2024年12月19日 16時30分

出向者コストについては、日本本社がその費用の一部を負担しているケースが多く見られます。この場合、3つのリスクがあります。1つ目は「日本の税務リスク」です。本来、出向者コストは出向先が負担する必要があるため、日本本社がその費用を一部でも負担している限り、法人税の税務調査で『国外関連者への寄附金』として課税される可能性があります。現地給与水準が上がるにつれ、『較差補填の考え方に基づく日本側が費用負担できる範囲』は小さくなります。


出向者コストを全額現地法人負担にしない限り、常に税務リスクが残るという認識が必要です。2つ目は『海外の税務リスク』です。赴任国がPE認定リスクの高い国の場合、日本本社が出向者コストを負担しているという事実をもって、『出向者は日本本社のPEである』と認定する可能性もあります。3つ目は『経営判断を誤るリスク』です。現地法人のために働く出向者のコストの一部または全部を本社負担している限り、現地法人の経営実態を正しい判断はできません。出向者コストを現地法人が全額負担した上で、現地法人の経営が成り立つ必要があるからです。本社が出向者コストを一部負担した状況で現法運営を続けることは、追加投資や撤退等の重要な経営判断を誤る可能性があります。


また、海外赴任者の赴任国における所得税については、現地法人任せの企業が多く、外資系グローバル企業が、税務プロバイダーを使って一元管理し税務リスク低減を行っている状況とは対照的です。赴任国での所得税の申告漏れも珍しくないことは本調査結果からも明らかです。税務調査で指摘されるまで申告漏れに気付かない場合、長い場合は10年前まで遡及され追徴課税されたという実例もあります。日本に帰任済みの社員の赴任中の所得に関する追徴税額を会社負担すれば、日本でも『給与』とみなされ課税されることになります。このように追徴税額によるコスト増はもちろんですが、後処理に係る社内人件費や会計事務所コストなども発生します。そのため、少しでも早い段階で申告漏れがないかの自主的な調査や修正申告の検討が必要です。しかしながら、そのような状況が発生しないためにも、一元管理等による申告漏れ低減策の検討など管理体制見直しが必要です。


一方、海外赴任中に発生する給与や手当以外に係る所得(退職所得、個人的所得、夫婦合算申告の下における帯同配偶者の所得等)についても赴任国で所得税の課税対象になる場合も少なくありません。この場合、当該所得税を誰が負担するかについて、明確なルールがない企業が多いようです。海外赴任者の個人所得税は、本人ではなく、会社が負担することが一般的ですが、これら個人的所得に対しては自己負担すべきと考えている企業が多くなっています。

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