人工衛星搭載の振動センサーを精密に校正
共同通信PRワイヤー / 2025年1月8日 19時0分
①の信号処理技術としては、われわれのグループが過去の研究で見出していた、ノイズの中から微小信号を抽出するための最適なフィッティング演算手法を適用しました。さらに、出来るだけ長時間のデータを積算したほうが、ノイズの中から小さい信号を取り出すことができるため、長時間の測定を自動積算できるような信号処理・制御システムを構築しました。②の防振技術としては、加振器とレーザー干渉計の配置を機械的に分離したり、加振器の設置防振構造を適切に選択したりすることで、振動の回り込みをできるだけ低減しました。③の自動調整機構としては、これまでの研究でレーザー照射位置に依存して計測結果が変わってしまうことが分かっていたことから、レーザーの照射位置を細かく自動調整できる二軸自動ステージを導入しました。多点計測を行うことで、依存性を検出・評価・低減するようなシステムを構築しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412252268-O2-do2P7F2r】
これらの技術開発により、振動周波数 5 Hz~6.3 kHz の範囲において、目標である 0.01 m/s2を下回る微小な振動レベルでの校正ができるようになりました。これは、振幅に換算すると最小で1.4 ピコメートルと極めて小さいものです(図1(b))。現時点で報告されている中では、この周波数帯域における一次校正として世界最小の振動レベルです。改善幅が最も大きい 6.3 kHz では、既存システム(100 m/s2)のおよそ1/40000となる、0.0022 m/s2まで低減することができました。導入した微小信号抽出技術によって、これだけの微小な振動を精密に検知できました。
今回、計測した値の不確かさを評価し、本システムが十分な性能を持っていることも確認しました。振動センサーの校正では、周波数応答特性として感度および位相シフトの2種類の計測値が得られます。不確かさ要因として、感度では17個、位相シフトでは11個の項目をリストアップしてそれぞれ定量的に見積もり、最終的な不確かさを算出しました。その結果、拡張不確かさ(k=2)として、感度で1.9%、位相シフトで 0.76°を得ました(32点の振動周波数における中央値)。人工衛星搭載等の用途で求められる不確かさは一般に数パーセントであることから、十分な性能が得られていることがわかりました。
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