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ウスバシロチョウの中国大陸からの伝播ルートと日本国内の地域性を高解像度な集団遺伝解析によって解明

共同通信PRワイヤー / 2025年1月6日 14時30分

ウスバシロチョウの中国大陸からの伝播ルートと日本国内の地域性を高解像度な集団遺伝解析によって解明

2025年1月6日

岐阜大学


ウスバシロチョウの中国大陸からの伝播ルートと日本国内の地域性を高解像度な集団遺伝解析によって解明


本研究のポイント

・ウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)の日本列島における遺伝的多様性をミトコンドリア遺伝子と核遺伝子を使って高解像度で解析した。

 ・ 本種は300万年前に中国大陸系統から分岐し、黄海のルートを通って日本に飛来したと推定された。

 ・ 日本系統では、中国地方と四国地方の系統が最も古く、100万年前に分岐し、その後、西日本系統と東日本系統が60万年前に分岐したと推定された。

 ・ 日本列島には少なくとも5つの遺伝的集団が存在し、その境界は津軽海峡のブラキストン線 1)、本州中央部、琵琶湖、中国山地に存在することが明らかとなった。


研究概要

 岐阜大学応用生物科学部の土田浩治教授・岡本朋子准教授、岐阜大学大学院修了生の田村英之・野田智明・林美紀子・岩田典子・横田侑子・村田雅紀・立松千智・中秀司(現 鳥取大学農学部准教授)・加藤貴範、昆虫愛好家の寺章夫氏と小野克己氏のグループは、日本では北海道から中国地方と四国地方まで分布するウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)のDNAを使って、その遺伝的多様性を高解像度に分析しました。その結果、ウスバシロチョウは300万年前に中国大陸の系統から分岐し、朝鮮半島もしくは黄海を経由して日本列島に広がったと推定されました。日本列島で最も古い系統は100万年前に分岐した中国・四国地方の系統であり、60万年前に西日本系統と東日本系統が分岐したと推定されました。また、現在の日本列島には少なくとも5つの遺伝的な集団が存在し、それぞれの集団の代表的な境界は、津軽海峡に相当するブラキストン線、糸魚川―静岡構造線に並行に走る線、琵琶湖、中国山地等であることが明らかとなりました。

 本研究成果は、2024年12月30日に分子系統学の国際誌であるMolecular Phylogenetics and Evolution誌のオンライン版で発表されました。


研究背景

 日本列島の北海道から中国・四国地方まで分布するウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)は全面白色の前翅・後翅の一部が黒くなり、それが産地によって変異することが古くから昆虫愛好家の興味を集めてきました。その変異が遺伝的な基盤を持った地理的変異であるのかについては交配実験や飼育実験が行われてきました。日本の生物種の多くは大陸から渡来したものと考えられており、大きく分けて西ルートと北ルートに別れます。西ルートは、さらに、朝鮮半島ルート、黄海ルート、琉球列島ルートに別れると想定されてきました。本種は中国大陸にも分布していることから、これらのいずれかのルートを辿って日本列島に分布拡大したと推定されてきましたが、いずれのルートであるかは未解明のままでした。

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