注意欠如多動症(ADHD)中核症状の緩和に効果的な認知行動療法の技法を発見
共同通信PRワイヤー / 2025年2月3日 15時0分
〈研究の背景と経緯〉
ADHDの治療として薬物療法が有効とされています。しかしながら、薬物療法による寛解は稀であり、ほとんどの症例でADHDの中核症状は残存します。他方で、精神療法―特に認知行動療法―は、ADHDの中核症状の緩和に効果があるとされています。ただし、非常に多くの認知的・行動的技法が存在する認知行動療法で、どのような構成要素(コンポーネント)がADHD中核症状の緩和に有益であるのかは未知でした。そこで、この研究ではADHDに対する認知行動療法の有効性を評価したランダム化比較試験を体系的に調べて、治療レベルとコンポーネントレベルのネットワーク・メタアナリシスを行いました。
〈研究の内容〉
5つのデータベースで検索を行い、2024年2月29日までに英語で公開された43試験3,817症例のエビデンスを統合しました。治療レベルの解析から、第3世代療法注6)(マインドフルネス認知療法注7)、弁証法的行動療法注8)、アクセプタンス・コミットメント・セラピー注9))、行動療法、認知行動療法の順にプラセボよりも、ADHD中核症状の緩和に効果的であることがわかりました。図1は治療レベルのネットワークです。コンポーネントレベルの解析からは、「組織化戦略」と「第3世代技法」が治療反応性を高めることに関連しており、「問題解決技法」が不注意症状の緩和に関連していることがわかりました。
〈今後の展開〉
今回の研究で、ADHDの中核症状を緩和に効果的な認知行動療法の構成要素が特定されました。この成果がADHD支援に関わるすべての人にとって、治療方針を決定する上での有益な情報となること願っています。今後は、これらの構成要素が含まれた認知行動療法プログラムの効果検証や、インターネットを介して効果的な治療へのアクセスを高める研究の実施が期待されます。本研究を遂行した研究チームは、すでに今回特定された認知行動療法の構成要素を含む治療者用マニュアル(濱谷・松本, 未公開)の作成と、子どもと保護者のためのインターネット治療プログラムの開発を完了しています(CARP, Children with ADHD Rescue Project: 図2を参照)。将来的には、これらを活用した臨床試験を行い、得られた治験を学術成果としてまとめて、関連学会や学術誌に報告していく予定です。
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