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沿岸域でのポリヒドロキシ酪酸(PHB)生分解のカギは微生物叢の多様性

共同通信PRワイヤー / 2025年1月28日 14時0分


なお、この技術の詳細は、2025年1月13日に「Journal of Hazardous Materials」にオンライン掲載されました。


下線部は【用語解説】参照


開発の社会的背景

石油由来のプラスチック製品は高い耐久性を持つものが多く、自然分解されにくい傾向があり、海洋に流出した際、海洋汚染や生態系への悪影響といったさまざまな問題を引き起こします。そこで、微生物の働きによって二酸化炭素と水に分解される生分解性プラスチックが注目されています。用途に応じた高い性能を持ちながら、海洋で効率的に分解される生分解性プラスチックの開発が進むことで、環境汚染が抑えられるとともに、石油由来プラスチックの使用量が減ることで化石燃料の使用量の減少にもつながります。


高効率に分解される生分解性プラスチックを開発するためには、微生物を用いたBOD試験をする必要があります。BOD試験の際には、土壌、堆肥、淡水、海水といったさまざまな環境を想定した標準試験法を用いることになりますが、都市生活や産業活動などによってプラスチック廃棄物が流れ込む沿岸域の海水で効率的に分解されるかどうかを調べることは最も重要です。しかし、土壌などに比べて海水中には微生物の量が少ないため、生分解性の評価をする標準試験法では1~2年という長期間を要します。このような長期間にわたる評価試験が、高機能な生分解性プラスチック開発の律速となっており、より短期間で性能評価をする技術開発が求められています。そのためには、沿岸域において生分解に関わる微生物の種類やその代謝機能の詳細を解明し、これら微生物の生分解性を向上させる技術を標準試験法に組み込むことが必要です。


研究の経緯

産総研は、内閣府のバイオエコノミー戦略に基づき、素材の開発と高機能化・製造・分解性評価・廃水処理といった一連の研究を組み合わせた「循環型社会を目指した生物資源利用技術」の社会実装を目指しています。循環型社会で石油由来プラスチックの代替として期待されている生分解性プラスチックの研究開発においては、さまざまな生分解性プラスチックが深海底で分解されることの実証や(2024年1月26日 産総研プレス発表)、ポリ乳酸の伸びを改善するとともに海水中での生分解が促進される新素材の開発といった研究を推進してきました(2024年3月26日 産総研プレス発表)。また、NITEは海洋生分解性プラスチックの分解試験法の標準化に対する支援や海洋生分解性プラスチックの分解に関わる微生物の探索に取り組んでいます(2024年5月23日 NITEプレス発表)。今回、産総研及びNITEは、生分解性を短期間で評価できる標準試験法の確立に向け、実験室環境での試験において生分解を担う微生物叢について詳細に解析しました。

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