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AIにより画像からアルミニウム合金の強さを予測

共同通信PRワイヤー / 2025年2月5日 14時0分


アルミニウム合金はその用途に応じてさまざまな種類の合金が開発されてきたため、リサイクルするアルミニウム合金には多様な合金元素が含まれています。したがって、リサイクルアルミニウム合金は合金元素の含有量が多く、固体での加工が難しいなどの理由により缶材や鋳造用などに用途が限られていました。このため、合金元素の含有量の多いリサイクルアルミニウム合金の特性を最適化し、適用範囲を広げていく必要があります。しかし、最適なアルミニウム合金をつくるには非常に多種の合金元素について調査する必要があり、開発期間がかかることが課題でした。


研究の経緯

産総研は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「アルミニウム素材高度資源循環システム構築事業」(2021~2025年度)において、不純物元素除去によるアルミニウム素材の資源循環技術の開発を進めています。また、窒化ケイ素の微細構造から壊れにくさの指標である破壊靭性を予測するAIを開発してきました(2022年9月30日 産総研プレス発表)。今回、この技術をアルミニウム合金の開発に応用し、光学顕微鏡による微視組織画像から特性を予測する技術を開発しました。


研究の内容

産総研でこれまでに開発を行ってきた組織画像から深層学習を用いて破壊靭性を予測する技術を応用し、アルミニウム合金の引張強度や伸びなど機械的特性のAI予測システムを開発しました。対象として、合金元素を多く含み、リサイクル材として使いやすい鋳造用アルミニウム合金を用いました。異なる組成のアルミニウム合金10種について、金型鋳造、砂型鋳造の2種類の方法で鋳造した材料から、合金1種につき試験片を各条件4本作製しました。これらの試験片を用いて、各条件12画像の組織画像を取得しました。一方、それぞれの合金の組織画像を光学顕微鏡で観察し、組織画像と機械的特性の関係を関連付ける深層学習モデルを構築しました。構築したモデルに対し、学習に用いた組織画像とは異なる画像データを与えることで、機械的特性の予測精度の検証を行いました。図1に強度と伸びの予測値と実測値を比較した結果を示します。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202502033701-O2-68RYTgJC


組織画像のうち、どの領域が予測値に関与したかを調べたところ、組織画像の濃淡から結晶の種類(結晶相)を判別していることが分かりました(図2)。図2のうち、赤色の部分は物性予測に大きく寄与する領域、青色の部分は物性予測への影響度は小さい領域です。これらの領域は異なる種類の結晶相であり、結晶相の種類に応じて予測値への寄与が異なっていることを示しています。

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