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社説:前原氏の新党 厳しい風、変えられるか

京都新聞 / 2023年12月8日 16時0分

 厳しい向かい風を受けての船出となろう。

 国民民主党の前原誠司代表代行が、離党して自らを代表とする新党「教育無償化を実現する会」を結成すると表明した。副代表となる前滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員をはじめ所属の5人中4人が京都、滋賀関係の国会議員という体制である。

 9月の国民代表選で前原氏は「非自民、非共産」の野党結集を訴えて敗れ、岸田文雄政権との連携を探る玉木雄一郎代表との路線対立が明白になっていた。

 溝が埋まらないままの臨時国会で、玉木氏はガソリン税を軽減する「トリガー条項」の発動を岸田氏に求め、検討するとの意向を受けて補正予算案に賛成した。政権との協調により傾いたことが離党の引き金になったという。国民は処分する方向で検討している。

 岸田政権の支持率は低迷し、政治資金パーティーを巡る裏金問題で自民党が揺れている。それでも野党が政権の脅威となっていない。野党第1党の立憲民主党は支持が伸びず、日本維新の会は大阪・関西万博の公費負担増への批判を受けて勢いを欠く。

 前原氏は「政策本位で野党勢力を結集し、政権交代の道筋をつくる」との持論を掲げる。教育無償化を看板政策とする維新は連携に前向きな反応を示し、立民も協力の可能性があるとしているが、熱は高まっていない。

 要因をたどれば、前原氏自身が招いた混乱に行き着く。2017年の民進党代表時代、小池百合子東京都知事が率いる希望の党との合流を巡り、反発した議員が立民を結成した。これ以降、「1強」自民と「多弱」の野党の構図から抜け出せずにいる。

 加えて、今回の手法とタイミングに対しては与野党から政党交付金目当てとの批判も出ている。1月1日時点で国会議員5人以上を有する政党が対象となるためだ。

 新党に加わる5人中3人が比例選出で直接、他党に移れない事情もあり、再編に向けてワンクッションを置いたともみられている。

 足元では京都市長選と大津市長選が年明けに迫り、支援先を決めた国民や連合の地方組織と、関係を巡る困惑も広がっている。

 野党の候補が乱立すれば与党を利して、政治に緊張感が生まれないのは確かである。新党が一石を投じるか、離合集散の一幕で終わるか。教育無償化にとどまらない旗印を打ち立て、求心力を取り戻せるかが問われよう。

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