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社説:後半国会へ 政権与党はごまかしやめよ

京都新聞 / 2024年3月30日 16時0分

 国民を欺いた自民党の裏金事件で政治不信が増す中、国会は新年度当初予算を成立させた。

 多大の時間を費やした事件の審議は、岸田文雄政権と自民のごまかしや逃げが際立ち、目を覆いたくなるばかりだ。

 岸田氏は2カ月前の施政方針演説で、事件対応と再発防止を軸とした政治改革、元日に発生した能登半島地震の早期復旧、物価高を上回る賃上げ対策―の3点を強調した。だが、裏金の闇は深くなる一方で、数々の欠陥を抱えた予算は修正されず、被災地への目配りも十分でない。

 最大の責任は審議を空転、空費させた政権にある。

 112.5兆円と過去2番目の大規模な予算は、効果の疑わしい1人4万円の減税や、「倍増」に突き進む防衛費8兆円が問題を象徴する。税収では足りず、3割は国債に頼る。

 ばらまきが目立つ少子化対策では、保険料に上乗せして国民と企業から1兆円の「支援金」を新たに徴収するが、岸田氏は「実質負担は生じない」と強弁を続けた。自民内には早くも補正予算の編成を求める声まで上がる。カネの不祥事をカネでごまかすつもりなのか。

 日銀が大規模金融緩和の正常化に踏み出した以上、金利上昇による借金の膨張が避けられない。放漫財政も正常化することは、政権・与党の急務だ。

 裏金問題を受けた衆参の政治倫理審査会では、野党が求める全関係議員の出席を拒み、時間稼ぎを繰り返した。やっと姿をみせた一部議員は、事務方に責任を押しつけるにとどまった。ここにきて裏金化の開始や廃止決定後の復活に、安倍派会長だった森喜朗元首相が深く関与していた疑いも強まっている。

 岸田氏は一部議員を自ら聴取しており、来週にも党内処分を出す方針という。事件の全容も明らかにならない中、幕を引く狙いにしか見えない。

 野党が求める関係議員や森氏の証人喚問に応じ、真相解明に全力を尽くす。政治資金規正法の抜け穴をふさいで、罰則や監視も強化する。岸田氏がなすべきことは明白である。

 後半国会は他にも課題が山積する。「経済安全保障上の重要情報」を扱う民間人の身辺調査を国が行う制度を盛り込んだ新法、離婚後の父母双方に親権を認める民法改正など、国民生活に大きな影響が生じるだけに慎重な議論が要る。

 分けても、殺傷兵器の輸出を解禁した閣議決定は看過できない。英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機に限ると与党は「歯止め」を強調するが、実効性が疑わしい。平和国家として歩んだ日本を、戦争に近づけるリスクを考える必要がある。

 4月末の衆院3補選や6月予定の国会会期末を踏まえ、岸田氏は衆院解散もにらむとされる。与党の数の力を抑えるため、野党は結束を高めたい。

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