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社説:ライドシェア 京都で解禁、安全最優先で

京都新聞 / 2024年4月2日 16時0分

 一般ドライバーが自家用車などを使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」が、4月から一部解禁され、京都市などで中旬以降に運行が始まる。

 観光地や都市部でも目立つタクシー不足を補うのが導入理由だ。ただ、2種免許を持たない「アマチュア」運転手による運送には安全面やサービスへの懸念も伴う。

 今回の解禁は「日本版ライドシェア」と銘打ち、タクシー会社を運行主体として地域や時間帯を限った仕組みで始める。

 利用者のニーズや事業性を丁寧に見極めるとともに、地域交通の一環として安全を最優先することが欠かせない。

 4月解禁は京都、東京23区、横浜、名古屋の4区域で、札幌や大阪、福岡など都市部中心の8区域にも5月以降に広がる。

 京都では大手タクシー各社が参入し、府タクシー協会の統一的なルールや運用方法のガイドラインに基づいて行う。

 公表案によると、運行は京都市(京北除く)以南の府内8市4郡の区域で、火-金曜の午前0~4時台と金-日曜の午後4時~翌午前5時台。いずれも国土交通省の調査で、タクシー不足にあると導入を認められた範囲の補完的な役割といえる。

 焦点のドライバーは、普通免許の取得後2年以上たつか2種免許を持つ20~64歳を対象に、タクシー各社が雇用し、運行管理や点呼、研修を行う。募る人材の対象が広く、いかに安全性を担保し、サービス品質を確保するかの具体策が問われる。

 そもそも国内で一般ドライバーが運ぶ「白タク」行為は原則禁止で、例外的に交通手段の少ない過疎地などで認められてきた。ただ、新型コロナウイルス禍で法人タクシー乗務員が2割減少した。

 昨春以降の需要回復に対応しきれないとの理由で、秋から急に規制緩和に動いたため、制度設計の生煮え感は否めない。

 京都でのライドシェアは、当初50~100台規模を見込む。全体台数の1%前後に限られる一方、運行時間帯が深夜・早朝が大半のため、ドライバーが十分に集まらない恐れもある。

 府協会によると、法人各社の乗務員数は、需要拡大と運賃値上げに伴う待遇改善などで回復が見られるという。ライドシェアと客を奪い合う過当競争となれば本末転倒で、需給や管理状況の検証が不可欠だ。

 一方、来年予定の大阪・関西万博で活用を目指す大阪府・市は、日本版ライドシェアは不十分とし、24時間運行や配車アプリ事業者の参入などを要望。政府内で全面解禁の議論も続く。

 他にも国は、乗務員の確保策として2種免許教習の大幅期間短縮や、「特定技能」拡大など外国人材の活用を掲げる。

 その場しのぎでなく、運転手の労働環境の改善と安全の徹底こそ利用者の安心につながる。

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