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社説:海自ヘリ墜落 続く事故、背景も調べよ

京都新聞 / 2024年4月24日 16時0分

 またも自衛隊機の事故が繰り返された。

 海上自衛隊の哨戒ヘリコプター2機が、伊豆諸島沖で夜間訓練中に墜落した。

 乗員計8人のうち1人の死亡が確認され、残る7人の捜索を続けている。

 現時点で機体の異常は見つかっていない。2機が近接していたデータがあり、木原稔防衛相は「衝突した可能性が高い」との見方を示している。

 行方不明者の捜索を急ぐとともに、原因を多角的に調査して明らかにしなければならない。

 海自によると、当時はヘリ3機で飛行し、つり下げたソナーを海中に入れて潜水艦の位置を連携して探る訓練をしていた。

 暗い夜間は目視しにくく、互いの距離感をレーダーなどで確認しながらの難しい操作という。

 同型ヘリの夜間訓練中の事故は続いている。2017年8月に青森県沖で1機が墜落し、2人が死亡、1人が行方不明となった。21年7月にも鹿児島県・奄美大島沖で2機が接触した。

 再発防止のため、海自は複数の航空機が展開する現場では高度差を指示するなどの対策の徹底を打ち出したが、防げなかった。

 今回の2機は、位置情報を共有し、接近すると警報を鳴らす「僚機間リンク」システムに接続していなかったことが判明している。

 回収された2機のフライトレコーダー(飛行記録装置)から飛行データや交信記録を解析するとともに、別の1機の乗員らの聞き取りを通じ、事故の経緯や原因を究明する必要がある。

 訓練していた潜水艦への対処は、海自が「最重要任務」と位置付ける。日本周辺では冷戦期は旧ソ連、近年は海洋進出を強める中国が潜水艦の増強を進めており、警戒監視や情報収集の重要性が増しているという。

 ただ、現場部隊は、中国公船による領海侵犯や北朝鮮のミサイル発射への警戒・対応など実任務に追われる状況という。そのため航空機パイロットらの基礎的な訓練が不足している、との指摘が隊員や幹部OBからも出ている。

 陸自でも昨年4月、沖縄県宮古島付近でヘリ1機が墜落し、10人が死亡した。相次ぐ重大事故にも、原因調査の結果は十分に説明されず、部隊の周辺住民らは不安と不信を拭えずにいる。

 隊員の安全とともに市民生活を脅かさぬよう構造的な要因も含めて洗い出し、詳しい情報開示と実効性ある対策を求めたい。

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