「『保守』という言葉は、乱暴に使われている」 元衆院議長の伊吹文明さんが考える定義とは
京都新聞 / 2024年4月11日 6時0分
元衆院議長伊吹文明さんがこのほど、自らの歩みをまとめた「保守の旅路」を出版した。約40年にわたる政治家人生の基盤や時代を見つめる目を培ってきたのは、生まれ育った京都の文化にあるという。「私の『保守』の考えは、古都に残るよき伝統、日本人の持っていた心根に大きく影響されていた」と振り返る。
伊吹さんは1938年、京都・室町で約200年にわたって繊維問屋を営む商家に生まれた。実家には「家憲」があり、商売の費用は惜しんではならないが、暮らしは華美にならないように慎むべき―といった教えが、幼い頃から自然に身についていたという。
「日本人は、基本的に弥生文化の農耕的生き方。西欧の狩猟民族と違い、農耕は助け合わないとできない。そこに日本人の協調性がある。悪くすると同調圧力が強いとも言えるが、温かい仲間意識」と語る。そうした伝統的な日本人の姿が今なお色濃く残っているのが、京都だと言う。
「京都の町中で育まれた商家のしきたりやしつけが公務員22年、国会議員37年の自分の身の処し方に大きな影響を与えている」。加えて、書物を読むことや幅広い人との対話などを、自身の価値観の礎としてきた。
「いわゆる『保守』は、きちんとした定義もなく、乱暴に使われている」という。では、伊吹さんが考える「保守」とは何か。
「人間は判断を間違える。その前提の上で、長年にわたり醸成されてきた民族の暗黙の約束ごと、伝統的規範を信用することが私の考える『保守』。社会の秩序は法律以上に社会の暗黙の約束ごとで保たれている」
法律や政策以前に、人間としてルールを守ること。保守とは謙虚な思想であるともいう。
2012年、11月1日を「古典の日」とする議員立法にも携わった。数多くの古典文学の舞台ともなった京都の地で、小中高の学びに生かされることを願う。自身も嵯峨野高在学時に、俳句に出合い、吟行などにも参加した。〈桃花生け紅もゆる部屋となる〉。自作の俳句は、万葉集の大伴家持の和歌〈春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ少女〉から想を得た。
「(京都には)資源はいっぱいある。そうした学び、文化を意識して、時代を見る目を養ってほしい」
「保守の旅路」は中央公論新社刊。1870円。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
八幡和郎 日本人の試練 「移民問題」は国益を冷静に最優先せよ 外国人だけ警戒しても意味はない…監視や規制を「性悪説」で近代化すべき
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月16日 15時30分
-
【佐原商家町ホテル NIPPONIA】日本初の精密な全国地図を作成した偉人・伊能敬忠の歴史に触れられるツアープランを5月9日より提供開始
PR TIMES / 2024年5月9日 18時15分
-
社説:補選で自民全敗 国民の憤りに向き合え
京都新聞 / 2024年5月1日 16時5分
-
[社説]衆院補選で自民全敗 突き付けた怒りと不信
沖縄タイムス+プラス / 2024年4月30日 5時0分
-
岸田首相、「1勝」と「全敗」で分かれる"天国と地獄" 政権の命運占う「4・28トリプル補選」は苦戦必至
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 7時0分
ランキング
-
1ごみの分別作業中に「赤ちゃんのような死体」 横浜のごみ集積場
毎日新聞 / 2024年5月22日 21時56分
-
2SEVENTEENが紹介”映えスポット”に観光客殺到 「規制していない」と東京タワー広報
スポーツ報知 / 2024年5月22日 6時0分
-
3「カスハラは何人もしてはならない」あらゆる職場や間柄で禁止…東京都が今秋にも条例化へ
読売新聞 / 2024年5月22日 19時39分
-
4【速報】札幌・すすきの 歩行者2人次々とはねられる 車の運転手も搬送…体調不良訴える
STVニュース北海道 / 2024年5月22日 22時46分
-
5【速報】「夢グループ」元部長ら2人が会社に約3700万円の損害を与えたとして背任の疑いで逮捕 警視庁
日テレNEWS NNN / 2024年5月23日 10時21分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください