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社説:コロナ5類1年 次の危機に備え着実に

京都新聞 / 2024年5月8日 16時5分

 多大な犠牲を払った新型コロナウイルス禍の経験を踏まえて、次なる感染症危機への備えを着実に進めねばならない。

 新型コロナの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に移り、きょうで1年となる。

 コロナ禍での死者7万4千人超に加え、昨年5~11月には1万6千人超が新型コロナで死亡していたと厚労省が発表した。

 5類移行に伴い、緊急事態宣言発令や感染者への外出自粛要請など特別措置法の適用から外れた。感染者の全数把握もやめた。

 昨年5月以降、段階的に縮小してきた新型コロナの医療に関わる公費支援は3月末で終了した。

 治療薬代は3割負担の人は治療1回当たり9千円の定額負担となった。抗ウイルス薬「ゾコーバ」は5日分で1万5千円超となる。

 無料だったワクチン接種も、65歳以上の高齢者らを対象に年1回の定期接種に移行した。7千円程度の自己負担が生じる。経済的理由が受診や接種控えにつながらないよう配慮が求められる。

 後遺症に悩む人も少なくない。定義は明確でないが、厚労省研究班が昨秋、感染者の1~2割で倦怠(けんたい)感や息切れ、記憶力低下などの後遺症がみられたと報告した。

 5類移行後は感染しても受診しない人が増え、実情がさらに見えにくくなった。相談体制や治療ニーズに応えることが必要だろう。

 こうした進行形の問題に加え、コロナ禍で露呈した国、自治体、病院間の連携や医療提供体制の課題にも改めて目を向けたい。

 先進国の中でも人口当たりの病床数が最も多いにもかかわらず、感染者急増に病床が逼迫(ひっぱく)し、医療崩壊の危機を招いた。検査体制やワクチン接種でも、政府の対応の遅さと指揮系統の混乱が現場の足を引っ張り続けた。

 反省として政府は昨年、感染症対策の司令塔を担う「内閣感染症危機管理統括庁」を設立。来月には、深刻な感染症の対応に関する「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を改定する。

 国は自治体や公立病院を指揮するための法整備を進める方針だが、実効性は心もとない。病院の8割超を占める民間への指示や役割分担をどう進めるか明確でない。

 先月から医師の残業規制が強化されたことも踏まえ、コロナ病床がパンクした「目詰まり」のような事態が起きるのを防ぐ具体策が欠かせない。

 「次」は必ず起こる。危機感をもって取り組みを加速したい。

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