本当にやっちまった! アニメ化実現の「エグすぎ・渋すぎ」青年マンガ5作品
マグミクス / 2022年11月12日 19時10分
■変態だらけで「まさかアニメ化されると思ってなかった」作品も
2022年9月、「週刊ヤングマガジン」で連載されている『マイホームヒーロー』(原作:山川直輝 作画:朝基まさし)が、TVアニメ化され23年4月から放送開始となることが発表されました。同作は47歳のしがないミステリー好き会社員が、娘の彼氏を殺害してしまったことから始まるクライムサスペンス。作中には凄惨な描写も多く、SNSでは「まさかアニメ化するとは」「あるとしたら実写化だと思ってた」という声もありました。また、同誌で連載されている『アンダーニンジャ』(作:花沢健吾)のアニメ化も、7月の情報解禁時に「意外!」と話題を呼んでいます。
こういった青年誌連載のエグくて渋いマンガの「まさかの」アニメ化は、これまでにも存在しました。今回はそのなかかから、特に話題を呼んだ印象的な5作品を紹介します。
●『ゴールデンカムイ』
現在、第四期が放送されている野田サトル先生原作の『ゴールデンカムイ』も、人気作ながらアニメ化が発表された際は驚きの声があがった作品でした。
その理由は、グロテスクな描写や、どうかしている下ネタ、変態たちの行動などさまざま。しかし、こうした飛び道具的な部分だけに留まらない、本筋である日露戦争終結後の北海道を舞台にした金塊の在処を示した刺青人皮の争奪戦、さらに歴史ロマンやアイヌ文化の紹介、狩猟グルメといった要素も加わり、唯一無二のテイストを持ったマンガが『ゴールデンカムイ』です。カットされたエピソード(後にOVA化)も多いですが、江渡貝くぅぅんのファッションショーやラッコ鍋など、過激描写含めて見事アニメ化され、人気を博しているのはアニメファンならご存じの通りです。
●『ヴィンランド・サガ』
幸村誠先生の『ヴィンランド・サガ』は、ヴァイキングがあらゆる地で暴虐の限りを尽くす千年期の終わり頃、最強と謳われた戦士の息子トルフィンが戦場で生きながら、幻の大陸「ヴィンランド」を目指すというマンガです。アニメは2019年7月から2クールにわたって放送されています。
間違いなく面白い作品ではあるものの、ときに残虐さもあるヴァイキング同士の激しい戦い、今どき珍しい骨太なストーリーのため、当時はどんなアニメになるか心配の声も聞かれました。しかし当時『進撃の巨人』や『甲鉄城のカバネリ』などで名を挙げていたWIT STUDIO制作による作画は美しく、アニメオリジナルシーンも交えたストーリーも丁寧で重厚。完璧なアニメ化で既存ファンの納得はもちろん、新たな作品ファンも獲得しました。
2023年1月から始まる続編は、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』のMAPPAによる制作となりますが、心配以上に期待を高めている人が多いでしょう。
■長らく映像化されなかった超名作もまさかの……!
『ドロヘドロ』ビジュアル (C)2020 林田球・小学館/ドロヘドロ製作委員会
●『ドロヘドロ』
林田球先生によるマンガ『ドロヘドロ』は、18年にもおよぶ連載完結から2年後となる2020年にアニメ化されました。同作は魔法使いに顔をトカゲにされた記憶喪失の男・カイマンが、相棒のニカイドウとともに本当の顔と記憶を取り戻すために戦うダークファンタジーです。
『ドロヘドロ』が「映像化不可能」と言われた主な理由は、混沌とした世界と情報量の多い画風です。しかしMAPPAは3DCGと作画を両立させて、その独自の世界観と魅力的なキャラクターを違和感なく表現。「おいでませ、混沌。」というキャッチコピーに、ふさわしいアニメ化を果たしました。
●『寄生獣 セイの格率』
近年、懐かしの作品がようやくアニメ化されることは珍しくありませんが、「まさか!」と思わせた人の多さでは、『寄生獣 セイの格率』は筆頭かもしれません。岩明均先生による原作『寄生獣』は、人間に寄生する生物と共生することになった新一とそのパラサイト・ミギーによる戦いの物語。1988年から1995年まで連載され、そのテーマ性や物語の完成度の高さで、連載当時から現代にいたるまで絶賛されている一作です。
ハリウッドによるプロジェクトが進んでいたものの、長らく映像化は行われていませんでしたが、その契約が失効したタイミングでTVアニメ化と実写映画化がダブル発表されます。2014年から2015年にかけて放送されたTVアニメは堅調な作りで、注目を集めていた平野綾さん演じるミギーも独自の魅力を放ち好評を博しました。
●『BLUE GIANT』
最後に紹介するのは、2023年2月17日にアニメ映画として公開される石塚真一先生の『BLUE GIANT』です。同作はジャズに魅せられた少年・宮本大が世界一のジャズプレイヤーを目指す物語で、文化庁メディア芸術祭マンガ部門などマンガ賞を受賞した人気作です。
宮本を始めとする作中プレイヤーによる「音」は評価が高いものが多く、それだけにアニメで表現することのハードルの高さを感じていた人も多いはず。しかし、2022年10月にジャズピアニストの上原ひろみさんが、アニメの音楽とピアノの演奏を担当することが明かされました。さらに、その他のパートの奏者も実力者揃いで、話題を呼んでいます。映画館の環境で聴くのが楽しみな一作となりました。
(はるのおと)
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