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ウソだろ…? ファミコン時代の大容量カセット「●メガROM」に潜んでいた「罠」とは

マグミクス / 2023年1月29日 11時50分

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■ファミコン時代のゲーム容量を表す単位「ビット」とは?

 私たちがゲームを購入する際、容量も気にすると思います。容量が大きければ大作だという印象もあります。この時使われる最近の単位は「ギガバイト」ですが、1980年代に大ブームとなったファミコンの時代はどうだったのでしょう?

 当時、ゲームカセットにおける大容量を示す単位は「メガ」でした。初めてこれをアピールしたのは、コナミが1986年7月に発売した『がんばれゴエモン!からくり道中』です。パッケージにも「2Mビット使用」と書かれており、当時少年だった筆者には、意味はわからないまでも強いインパクトがありました。

 綺麗なタイトル画面、膨大なステージ数、音声サンプリングで「御用だ!」と叫びながら近づいてくる敵など、従来のゲームと大きく異なることは体感でき、これらが「2メガのおかげ」だと思ったわけです。

 もちろんそれは正解でしょう。しかし耳慣れない言葉が使われています。「2メガ」に続く「ビット」という言葉です。現代の私たちが普段「メガ」と言う場合、そのあとに続くのは「バイト」であるはずです。「ギガ」も「テラ」も同様です。

 実は「ビット」もデータ量の単位で、

ビット(bit)、バイト(Byte)、キロバイト(KB)、メガバイト(MB)、ギガバイト(GB)、テラバイト(TB)……のように続いていきます。ただし、

約1,000Byte=1KB
約1,000KB=1MB

……と単位が上がるのに対して、ビットの場合だけは

8bit=1Byte なのです。

 そのため、「2メガビット」とは、バイトに換算すると8分の1の約250KBということになります。

 これがどのぐらいの量なのかというと、同年にエニックスから発売された初代『ドラゴンクエスト』の容量が64KBで、従来のゲームのほとんどがこれ以下(32~48KB程度)でした。1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)も40KBです。

 こう聞くと250KBはかなりの大容量ですが、現在のLINEのメッセージ1通が文字のみで約3KBらしく、フルHDのデジカメ写真(JPEG)は1枚約2MBなので、現代では小さすぎる量です。

 ちなみに、2023年1月24日にスクウェア・エニックスから発売された『FORSPOKEN』のPS5版の容量は「87.28GB以上」だそうです。実に87,280,000KBです……比較しようにも全然分からないですね(笑)

 ところで、ファミコン時代はこうした「容量アピール」が少しずつ増える一方「ビット」という単位は省略されていきます。

『未来神話ジャーヴァス』(1987年、タイトー)は箱・カセットに「2M」とあり、『スーパーマリオブラザーズ3』(1988年、任天堂)では箱の裏面と説明書に「3M」と記載があるものの、いずれも単位がありません。これはなぜでしょうか?

■「メガ」という言葉が強調された理由

セガの「メガドライブ」は、直球で「メガ」を前面に押し出したゲームハードだった。画像は2019年に発売された復刻版「メガドライブ ミニW」(セガ)

 もともと「メガ」とは「大きい」を意味するギリシア語から来た言葉で、昔からさまざまな場面で見られる言葉でした。「メガヘルツ」といった別の単位もそうですが、アニメなどの娯楽作品でも「メガ●●」という名前が登場するなど、それなりに馴染みのある言葉でした。

 また当時はパソコンが普及していないどころか、ファミコンとそれ以外のゲーム機の区別すらついていないお客さんも多かったわけですから、ビットとかバイトと言われてもピンと来ません。

 こうしたことから、単位を省略して「メガ」だけを押し出そうとしたのではないでしょうか? 確かに数字だけなら「250」の方が凄そうですが、「250キロ!」「2メガ!」では、後者のインパクトが強い気がします。

 実際にセガが1988年に発売した「メガドライブ」の名称は「1メガ(ビット)のROMカセットを動かす(=ドライブする)装置」という、ダイレクトな意味でした。これも単位を省略して「メガ」を押し出したパターンだと思えます。

 他には、数字と単位を上手く使ったキャッチコピーがあります。

「100メガショック!ネオジオ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? SNKが販売していたゲーム機「ネオジオ」の宣伝で使われた言葉です。100メガビットは12.5MBなので、ここでは数字の上でもビット単位の方にインパクトがありました。ネオジオはゲームセンターにあるゲームがそのまま家で遊べたので、アーケードゲームってそんなに容量が多いんだ! という驚きをもたらしたコピーでした。

 さて大容量と言えば、その点では不幸なハード「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」についても触れておきましょう。

 1986年2月に発売されたディスクシステムの売りのひとつは大容量で、ディスクカード両面に合計896キロビット(112KB)のデータを書き込めました。これは当時の平均である40KBの3倍近い量でしたが、同年5月に1メガビット=約120KBのロムを使った『魔界村』(カプコン)、そして7月には既に書いたように2メガビット=約250KBのロムを使った『がんばれゴエモン!』が発売になっているので、あっという間に追い抜かれてしまったのでした……。

 今の「ギガ」も、こんな感じですぐ過去の単位になってしまうのかもしれませんね。

(タシロハヤト)

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