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『ドラクエI』呪文だけで「竜王」は倒せるか? ハードすぎる戦いから「新しい物語」が生まれる?

マグミクス / 2023年5月29日 21時25分

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■「魔法を極めて竜王討伐」勇者の熱い思いが込められて?

 現在でもRPG(ロールプレイングゲーム)の代名詞的な作品として遊ばれている「ドラゴンクエスト」シリーズの第1作は、1986年5月27日にファミコンで発売された『ドラゴンクエストI』です。「勇者ロトの子孫である主人公が、アレフガルドの征服を防ぐために竜王討伐に旅立つ」というストーリーでした。

 この作品、実はプレイヤーが付ける名前によって、能力値の成長度合いが変わります。名前によって、成長パターンが15種類のどれかになるというシステムです。普通に最強を目指すのであれば、「HP」「ちから」が上昇する名前が有利ですが、では逆に「魔法使いタイプ」の名前にして、呪文で竜王を倒すことは可能なのでしょうか。

 ネットで法則性を調べたところ「あてなむ」という名前にすれば、「すばやさ」「MP」を最高にできるようなので、その名前を取り入れて、実際に「呪文だけで竜王討伐」にチャレンジしました。

 では、「あてなむ」が竜王討伐に出発です。以下、RPGらしく脳内ストーリーを。

* * *

 私は勇者アテナム。私の祖先である勇者ロトは、神に授かった「ひかりのたま」で魔物たちを封じ込めていたそうです。しかし、いずこともなく現れた、悪魔の化身「竜王」が、その玉を闇に閉ざしたことで、封じられていた魔物が復活してしまったのです。

 アレフガルドの王ラルス16世は、私に竜王討伐と「ひかりのたま」の奪還を命じました。

 なお、私の父は、世を捨てて生きる老賢者で、勇者ロトの血筋の持つ力が弱まっていることを憂いていました。私は旅の最後に父の祠(ほこら)を訪ね、助言を受けることにします。

「アテナムよ。ご先祖様の時代には、数多くの呪文が存在した。一瞬でどんな傷をも癒す呪文や、強大な稲妻で全ての敵を撃ち滅ぼす呪文などもあったという。しかし、その強大な力を組み替え、ひかりのたまに注ぎ続けねば、魔物を封じ続けることができなかったのだよ」

「なんと、そんな弊害が。確かに平和な社会になるなら、強大な呪文は不要ですが……」

「うむ。各地に存在する魔物を活動不能にするほどの力だからな。だが、巨大な力を使い続けた結果、呪文は変質し、勇者の力も大きく低下した。それだけでなく、ひかりのたまを補完するために、勇者ロトの聖なる装具も、各地に分散せざるを得なかった」

「それが裏目に出ましたね。竜王はロトのよろいがあるドムドーラの町を滅ぼし、ロトのつるぎも竜王の城に持ち去られたと聞きます。ロトのたてに至っては、どこに行ったのかすらわかりません。残念ですが、闇に飲まれたロトの装具は、大きく力を失ったことでしょう」

「そうなるな。ロトの装具もひかりのたまも竜王に奪われ、その力に頼れぬ以上、ロトの子孫であるそなたが魔法の力を高めていくしかない。私は長年研究を重ね、閃熱系の攻撃呪文であったベギラマに、かつてのデイン系のような稲妻の力を持たせた。どうか、魔法の力を極め、この呪文で竜王を倒してほしい」

「わかりました。父上の研究したベギラマで、必ずや竜王を討ち果たしましょう!」

* * *

 こんな脳内ストーリーに基づき、勇者アテナムのレベルをゲームの上限である「30」まで何とか上げて、竜王討伐の準備を進めます。

 余談ですが『ドラゴンクエストI』の時代は『ドラゴンクエストIII』から見て後の時代なのですが、ゲームシステムの都合上、『I』より『III』の勇者の方が遥かに強いです。レベル上限は『I』が30で『III』が99、最強の武器である「おうじゃのけん」は、攻撃力120ですが、設定上同じ武器である「ロトのつるぎ」は攻撃力40に低下し、道具での攻撃呪文も撃てなくなります。

 攻撃呪文も『III』の勇者は電撃を放つ「ギガデイン」で200前後のダメージを与えられますが、『I』の勇者は58~65ダメージを与える「ベギラマ」が最強呪文でした。

 このベギラマは『I』『II』では電撃を放つ呪文だったのですが、『III』よりギラ系が「閃熱」を放つ炎の呪文となり、勇者のみが使えるデイン系呪文が「電撃」に変更されています。

 このあたりの変化を脳内設定で補完しつつ、最強攻撃呪文「ベギラマ」で竜王を打倒すべく、竜王の玉座に向かいます。

※本文の一部を修正しました。(2023.5.30 11:45)

■最強呪文「ベギラマ」が、ぜんぜん当たらない

真の姿をあらわした竜王に呪文「ベギラマ」をヒットさせた瞬間。3回当てることができれば倒せる計算だが、命中率が異様に低いため苦戦を強いられる

『I』のロトのよろいは、歩くだけでHPが回復し、毒の沼地やバリアーも無効となるため、敵から逃げられなくて、ダメージを受けても歩けば治ります。

 こうしたことから、全くダメージを受けずに、ラスボス「竜王」の前に到着しました。有名なせりふである「世界の半分をやるから仲間になれ」を断り、竜王との戦いが始まります。

 お互いがベギラマを使い、雌雄を決するのは、アニメ『ダイの大冒険』の勇者アバン対ハドラーのようで、個人的には燃えるシチュエーションですが……全っ然呪文が効きません。

『I』には「全く呪文が効かない敵」はいないのですが、ファミコン版の竜王は16分の1、つまり6.25%しか呪文が効きません(リメイク版では65%の確率で効きます)。ベギラマの消費MPは5、アテナムの最大MPは200なので、最大40回ベギラマを撃つことができます。

 変身前の竜王のHPは100なので、ベギラマを2発当てねば倒せませんが、呪文無効化をされ続けるため、変身前の竜王に2回ベギラマを当てるだけでMP切れとなり、変身後に何もできずに負けることが続きます。全滅を繰り返すと所持金が半減し続けるため、数回全滅したら復活の呪文でやり直しました(お金の使い道なんてありませんが、気分の問題です)。

 少しでも余力を持って変身後の竜王と戦うため、やくそうを最大の6個持ちます。変身前の竜王がベギラマの時はやくそうで回復し、通常攻撃かマホトーンの時にベギラマで攻撃することで、最大HPに近い状態で、変身後竜王と戦うことができます。

 試行回数を重ね、ベギラマ5回中2発を当て、余力を残して変身後の竜王戦へ、これで倒せねば、もう無理でしょう。

 変身後の竜王はHPが130あり、ベギラマ2発で倒すには乱数で最大の65ダメージを2回出す必要があるため、実際には不可能に近く、どうしても3回当てねばなりません。

 レベル30でも、物理攻撃で22~38のダメージ、炎による攻撃で42~46のダメージを受けます。ガリガリと削られるため、消費MP10の「ベホイミ」を使わざるを得ない苦しい戦いです。

 なんとか2回ベギラマを当てましたが、アテナムの残りHPは「3」、MPは「10」。消費MP10のベホイミを使えば、竜王の攻撃を耐えられますが、それでMPが「0」になるので、ベギラマで竜王を打倒できなくなります。外せば死にますが、ベギラマ一択です。

 祈りを込めて放ったベギラマは……「64ダメージ」を与え、ついに竜王が倒れました。ここまでのプレイで41回全滅しています。以下脳内ストーリーを。

* * *

「ベギラマ!」

 最後に放った電光が、ついに竜王を揺るがした。巨体がゆっくりと地面に倒れる。

 呪文が通じず、本当に苦しい戦いだった。竜王の城に隠されていた、ロトのつるぎを振るえば、あるいはもっと有利に戦えたかもしれないと思う。

 しかし、ベホイミを初めとした、多くの呪文がなければここまで来られなかったのも確かだ。次の世代のためにも、魔法の力をより磨き上げ、強くあらねばならない。ベギラマで竜王を倒したと聞けば、呪文を学ぶ人も増えることだろう。私はひかりのたまを取り戻しつつ、そんなことを思った。

 ひかりのたまで、全ての魔物を封じようとすることには弊害が伴っていた。これからは、ひかりのたまに頼るだけではなく、今後、魔物が出たとしても、勇者や人びとが自分たちの力を高めることで世界を守れるようにしなければならないだろう。そのためにも、私を支援してくれた勇気ある人々と力を合わせ、人間の領域をアレフガルドの外に広げなくては……。

 アテナムは新大陸での建国を見据えつつ、世界の有り方を変えることを決意した。

* * *

 ということで、何とか目標達成できました。

 ちなみに、魔物を封じ込める「ひかりのたま」って、続編の『ドラゴンクエストII』には出てこないんですよね。だから、世界中に魔物が出る状態なのかな、みたいに解釈しつつ、『ドラゴンクエストI』を終わりにします。縛りプレイ、楽しかったです。

(安藤昌季)

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